H3ロケット3号機現地取材 第4回 H3ロケットは2機連続成功、「まぐれでないことを証明できた」
マイナビニュース / 2024年7月2日 19時27分
H3ロケット3号機は、打ち上げの16分34秒後に衛星を分離。その後、地球を1周したところで第2段エンジンの2回目の燃焼を行い、第2段の制御再突入にも成功した。有田プロマネによれば、「ロケットとしてはほぼ完璧な成功」だったという。
今回のフライトでは、H3ロケットとして初めて、第1段エンジン「LE-9」のスロットリングを実施した。この結果については、飛行中のエンジン燃焼圧の変化で確認。燃焼フェーズの終盤に、計画通り、5秒かけて推力を100%から66%に下げ、そこから20秒間維持できていたという。
スロットリングは、推進剤が減って重量が軽くなる終盤に、加速度の増加を抑え、衛星への負荷を軽くするために実施される。LE-9エンジンを3基搭載する30形態では、必須とされる機能。ブースタを使わない30形態は、H3のコストダウンの切り札である。それに向けて、この成功は大きな前進だったと言えるだろう。
ただ、有田プロマネによれば、30形態を実現させるためには、まだ課題が残っているという。日本のHシリーズはこれまで、液体の第1段エンジン+固体のロケットブースタというスタイルで一貫しており、液体エンジンのみで飛ぶロケットは初めて。「システムとしては全く新しいチャレンジ」(有田プロマネ)なのだ。
ここで重要となってくるのは、3基のLE-9エンジンの推力を同時に出すことと、十分な推力が立ち上がるまで飛び上がらないよう、ホールドダウンシステムで機体を発射台に固定しておくことである。H3は当面、22形態で運用していく予定だが、LE-9のフライト実績が増え、信頼性がより高まっていくことが、30形態の実現にもつながる。
今後も改善が続くH3ロケット
商業打ち上げの市場では現在、米SpaceXが圧倒的な強さを持っており、競争は熾烈。H3はこれから、成功を続けて高い信頼性を示すしかなく、有田プロマネも、「連続成功あるのみ」と、力を込める。
お手本となるのは、やはりH-IIAだろう。H-IIAは2003年11月の6号機が失敗したものの、現時点で、失敗はこの1機のみ。以降、2024年1月の48号機まで、20年に渡って成功を続けている。H-IIAは商業打ち上げではあまり実績を残せなかったものの、オンタイム打ち上げと、信頼性の高さでは世界屈指。これをH3でも引き継げるかがポイントだ。
その連続成功の第一歩となったのが、今回の3号機である。打ち上げ前のプレス向けブリーフィングで、「H3は2号機が成功し、システムとして宇宙に行けることを1回は証明したが、これがまぐれでないことを証明しなければならない」と、3号機の意義を語っていた有田プロマネだが、まずはそれをしっかり証明した形だ。
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