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不妊治療で重要な胚培養士の効率化を支援する顕微鏡、ニコン子会社が開発

マイナビニュース / 2024年7月10日 17時54分

画像提供:マイナビニュース

ニコンの子会社であるニコンソリューションズは7月4日、不妊治療の顕微授精に特化したICSI(卵細胞質内精子注入法:Intracytoplasmic Sperm Injection、イクシー)/IMSI(卵細胞質内形態選別精子注入法:Intracytoplasmic Morphologically selected Sperm Injection、イムジー)用電動倒立顕微鏡「ECLIPSE Ti2-I(エクリプス ティーアイツーアイ)」を発表した。同製品はすでに7月5日より発売が開始されている。

同日、同顕微鏡の特徴などに関する説明会が開催。日本臨床エンブリオロジスト学会 理事長/みなとみらい夢クリニック 培養室長の家田祥子氏が「胚培養士の現状と課題、不妊治療の未来」と題し、実際に使用してみた感触などを含めた不妊治療の現状について講演を行った。
不妊治療ニーズの高まりに伴い増加する胚培養士の負担

少子化は世界的に大きな社会課題の1つとなっており、女性の社会進出や晩産化などの影響から、日本のみならず欧州や米国においても不妊治療のニーズは増加傾向にある。

不妊治療は主に、「一般不妊治療」と「生殖補助医療(ART)」の2つに分けられ、不妊検査、タイミング法、人工授精などの一般不妊治療を行い、妊娠にいたらなかった場合に、体外受精や顕微授精などの生殖補助医療へステップアップすることが一般的な流れとされている。

日本でも、全出生児に占める生殖補助医療によって誕生した出生児の割合は年々増加傾向にあり、2021年には全体の8.6%(約11.6人に1人の割合)を占めるまでに増加。2022年4月からは不妊治療が保険適用されたこともあり、一般不妊治療や生殖補助医療の件数は今後も増加することが見込まれている。

こうした不妊治療を支えるのが「胚培養士(エンブリオロジスト)」だ。胚培養士とは、精子や卵子、受精卵、胚を取り扱う医療技術者で、胚培養から移植されるまで胚の凍結保存など最適な環境で厳重に管理していくほか、24時間対応でのインキュベーターや液体窒素タンクの監視などの培養室危機管理も行っている。

不妊治療の需要が高まりを見せる中、胚培養士はその根幹を支える重要な存在である一方で、国家資格の認定がされておらず地位が確立されていないということもあり、なり手が少ないという現状がある。また、全体の数が少ないということは、教育の担い手も少ないということでもあり、新卒の離職率は看護師よりも高い状況にあるほか、胚培養士は都心に集中しているため、地方と都心の医療格差の広がりも危惧されているという。

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