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不妊治療で重要な胚培養士の効率化を支援する顕微鏡、ニコン子会社が開発

マイナビニュース / 2024年7月10日 17時54分

このような状況でもあるため、現役の胚培養士への負荷は高まりつつあり、加えて技術の高度化に伴い、作業の効率性・正確性もますます求められるようになっている。特に、顕微授精は人が精子を選び、卵子に注入する人為的な操作であり、その操作には専門性が必要とされる。そのため、小中規模施設や地方といった規模の大小や地域問わずに多くの胚培養士が安心して容易に使える顕微授精用の顕微鏡が求められていた。

こうしたニーズを踏まえる形で今回、ニコンソリューションズはベテランでも初心者でも顕微鏡の操作が容易にでき、胚培養士の負荷軽減をサポートできる顕微授精に特化したECLIPSE Ti2-Iの開発を行ってきたとする。

「ECLIPSE Ti2-I」の特長

ARTの主要なステップには、精子の分析と選別、卵子や紡錘体の観察、精子注入、胚の継続管理などの複数のプロセスがあり、それぞれのワークフローにて顕微鏡を使用する複雑で繊細な操作および観察が要求される。しかし、従来機種では対物レンズや光量、コンデンサなどの設定をその都度行う必要があり、慣れていないと設定だけで30分ほどかかってしまうこともあるという。

ECLIPSE Ti2-Iは、こうした課題に対し、顕微授精に必要なプロセスごとの設定を手元のボタンおよびディスプレイに集約することで、顕微鏡操作の工程数を約75%削減することに成功。登録できるボタンは6つあり、観察モードを頻繁に変更する顕微授精のワークフローにおいて効率化を実現した。また、ボタンを押しても、ディスプレイ上でタッチしても機能は連動しているため作業者の好みの方を選択することができるとしており、実際に同顕微鏡を活用した家田氏は「操作ごとに手袋を外す必要がなくそのままワンタッチでディスプレイを操作できることに感動した」とその使い勝手の高さを評価していた。

また、ユーザーが顕微鏡に登録した内容と異なる使い方を行った場合、アラートを表示して操作ミスを防ぐ機能もついているとのこと。例えばAさんが光路を接眼レンズから顕微鏡左カメラ(作業をする際に左側にあるカメラ)に切り替えたままで作業を終了すると、次に使用するBさんが接眼レンズを覗いても何も見えない状態のままとなる。通常であれば、何がどのように変更されているかが分からず、使えるようになるまでロスタイムが発生することになるが、同顕微鏡では、何がいつもの設定と違っているのかをディスプレイ上で知らせてくれるため、そのロスタイムを減らすことができるのだという。

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