「成長か、停滞か」 - 選択を迫られた日本企業にIBMが提案するAIの活用策
マイナビニュース / 2024年7月12日 5時0分
日本IBMは7月11日、都内で年次イベント「Think Japan」を開催した。今年のThink Japanは信頼できる「ビジネスのためのAI」による業務変革に加え、システム開発・運用におけるITの高度化など、経営上の優先課題へのアプローチを事例とともに紹介。本稿では、基調講演をお伝えする。
重要な分岐点を迎えた日本企業、IBMが取り組む3つのポイント
今年のThink Japanのテーマは「成長か、停滞か、重要な分岐点。『ビジネスのためのAI』で一歩先へ」だ。
オープニングスピーチは、日本IBM 代表取締役社長の山口明夫氏が担った。同氏によると、この30年間はイノベーションに多くの費用をかけることができないデフレ経済の状況下において、どうにかコストを削減し、利益を確保してきたという。
一方で、山口氏は「近年では世界情勢が大きく変化し、不確実性が増す中で調達コストや資源などが高騰し始め、結果として物価が上昇するとともに金利もマイナスからプラスになりました。経済がマイナスに回っていたものがプラスに回り始めましたが、コロナ禍を経て日本の人材不足や少子化の影響、資源の少なさがあり、これらを克服しながら前進しなければいけない。そういったところに現在、私たちはいます」と指摘。
しかし、山口氏はこうした状況を悲観的に捉えるのではなく、大きくイノベーションを進めるためのチャンスと考え、生成AIや量子コンピュータなどの新しいテクノロジーを活用することでビジネス、仕事のやり方自体を変えていくべきとの認識だ。
現状ではテクノロジーを活用して効率化を図る動きは多く検討されているものの、それだけでは結果的に成長には結びつかないとの見解も示す。そのため、新しい製品やサービス、ビジネスモデルを企業間で創出し、国内外に提供していくことで自社のビジネスの成長につなげるとともに、効率化により生まれた時間ととコストを新しいものに振り向けていくべきだという。
そのような中で同社は「ハイブリッド・バイ・デザイン」「オープンなAI」「自動化」に取り組んでいる。これら3つについては、米IBM 上級副社長 ソフトウェア兼チーフコマーシャルオフィサーのロブ・トーマス氏が説明した。
ハイブリッドクラウドについて、トーマス氏は「5年前は単一のパブリッククラウドになるだろうと共通の見方をしていましたが、大半の企業がパブリッククラウド、プライベートクラウド、エッジコンピューティングなどを含めたハイブリッドクラウドの戦略であり、現在のデフォルトです」と話す。
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