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テレビ局の現役社員が描く『報道協定』 初瀬礼氏、葛藤の中でリアリティ追求「ここまでだったら」

マイナビニュース / 2024年7月16日 12時0分

画像提供:マイナビニュース

●常に持っていた「メディアの枠組みは破られる」意識
フジテレビの現役社員・初瀬礼氏が、最新小説『報道協定』(新潮社)を書き下ろした。在京テレビ局の報道記者が、報道協定が結ばれた誘拐事件に立ち向かう作品だが、テレビ局員だからこそ描けるリアリティも相まって、スリリングなストーリーに没入させてくれる。

なぜこのテーマで描こうと考えたのか。そして、テレビ報道のど真ん中にいる立場で書くことへの葛藤は。本人に話を聞いた――。

○今の時代に誘拐事件が起きたらどうなるか

今作のアイデアの発端は「誘拐事件」。これまで多くの有名作家が扱い、たびたび映像化もされてきた題材だが、犯人との電話のやり取りや現金の受け渡しという定番の描写は、「SNSやネットの発達で、今では絶対成り立ちにくいと思ったんです」と考え、今の時代に誘拐事件が起きたらどうなるか…と着想した。

そこで、物語のフックとして選んだのが、タイトルにもなっている「報道協定」。誘拐事件においては、取材・報道されることによって被害者の生命に危険が及ぶおそれがある場合、警察の申し入れを受け、それに合意した記者クラブ加盟メディア(新聞・テレビ・ラジオなど)が自制するという取り決めだ。

日本新聞協会によると、1960年に東京で発生した「雅樹ちゃん事件」で、被害者を殺害して逮捕された犯人が「新聞の報道で非常に追いつめられた」と語ったことをきっかけに始まった制度だが、時代を経て、記者クラブに加盟しないインターネットニュースメディアが次々に生まれた上、SNSの発達で“一億総メディア時代”と言われる現代において、今後その存在意義が問われる事態が起こるかもしれない。

前作『警察庁特命捜査官 水野乃亜 デビルズチョイス』(双葉文庫)でのインタビューで、初瀬氏は「いわゆるメディアの枠組みというのは、ネットに限らず、破られる要素がいくらでもあるので、そういう問題意識はいつも持っています」と話していただけに、今作で「報道協定」を切り口にするというアイデアは、自然と浮かんだそうだ。
○テレビ局記者の主人公は「避けていた」

これまで7冊の小説を書いてきたが、自身が経験したテレビ局の報道記者を主人公に据えたのは、今回が初めて。「現役の会社員なので、今までど真ん中の主人公にするのは避けていたところがありました」と打ち明けるが、「誘拐事件を描くにあたって、主人公を誰にするのかというのは、迷ったんです。警察、被害者家族、犯人と立場がありますが、“報道協定”という言葉がキーになったものですから、やはりメディアの人間を主人公にしたほうが自然に書けると思いました」と筆を走らせた。

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