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佐野正弘のケータイ業界情報局 第131回 楽天モバイルが手に入れた念願の「プラチナバンド」、過度な期待ができないわけ

マイナビニュース / 2024年7月17日 11時55分

その広さは、他社に割り当てられている700MHz(10MHz幅)の3分の1以下で、現状の仕組みでは他の周波数帯と束ねる「キャリアアグリゲーション」という技術も使えず、高速大容量通信には適していません。ですが、楽天モバイルが提供しているのは現状、データ通信が使い放題の「Rakuten最強プラン」のみなので、700MHz帯に多くの人が接続して大量のデータ通信をしてしまうと、たちまち混雑してしまう可能性が高いのです。

それに加えて700MHz帯は、もともとテレビ放送の地上波に使われていた帯域の一部で、デジタル放送への移行によって空きが出た帯域でもあります。そうしたことから、携帯電話会社が700MHz帯を使うことでテレビの映りに影響が出る場合があり、700MHz帯を割り当てられた携帯各社は一般社団法人の「700MHz利用推進協会」を設立し、影響の出た家のテレビに無料で対策を施しています。裏を返せば、そうした対策をしていかなければ、楽天モバイルも700MHz帯によるエリアを広げることは難しいのです。

そこで楽天モバイルは、他社のように700MHz帯を広域のカバーに用いるのではなく、あくまで都市部を主体とした限定的な活用にとどめる方針のようです。同社のプレスリリースを確認すると「残されたカバレッジホールを優先して自社基地局によるプラチナバンドの展開を順次拡大していく予定です」と記載していますし、三木谷氏が発表会で「人口密集地や建物が密集しているところ、地下などで隅の隅まで(電波が)届くようになる」と話していることからも、700MHz帯の活用を都市部に限定している様子がうかがえます。

また、同社が整備を進める700MHz帯の基地局に関しても、1.7GHz帯と700MHz帯の両方に対応したアンテナを用い、双方の周波数帯の無線機を併設するなど、あくまで1.7GHz帯と一体で展開していく方針のようです。楽天モバイル側はその理由について、整備にかかる時間やコストを大幅に削減して効率よく整備を進めるためとしていますが、700MHz帯単独での基地局整備を進める計画がないことからは、やはり広域のエリアカバーに700MHz帯を用いることに消極的な印象を受けてしまいます。

とはいえ、楽天モバイルは既に人口カバー率98%を達成したことを打ち出している一方、99.9%以上の整備が進んでいる競合他社と比べればエリアカバーの面で現在も不利な状況にあります。では楽天モバイルは今後、地方を主体とした未整備のエリアをどうやってカバーしようとしているのでしょうか?

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