1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. ライフ総合

土屋鞄のランドセル、こだわりは「大人用カバンと同じ目線」 - 西新井工房を見学してきた

マイナビニュース / 2024年7月29日 17時36分

4工程目は「肩ベルトづくり」。小さなパーツをいくつも組み合わせながら、大きなパーツにしていく。使用されるのは「腕ミシン」と呼ばれる、台座のない特殊なミシン。ランドセルの肩ベルトは、子どもの狭い肩幅でもずり落ちないようにカーブしているので、繊細な作業が求められる。その後、専用工具で縫い終わった肩ベルトにピンを通すための穴が開けられる。

5工程目は「前胴づくり」。前胴とは、メインコンパートメントの背中に当たらない方の仕切りと土台となるマチの部分を指す。この工程のゆがみは全体の出来を左右するため、非常に大事な工程だ。

6工程目は「背胴づくり」。背胴とは、メインコンパートメントの背中に当たる方だ。クッション素材をやわらかい牛革で覆うことで、長時間背負っても疲れにくいランドセルができる。

7工程目は「組み立て」。ここまで作ってきた各パーツをしっかりと組み合わせ、ランドセルの形を作る。

8工程目は「菊寄せ」。菊寄せとは、ランドセルの角に補強のための革をかぶせ、"ひだ"のようによせて花びらのように包み込む作業だ。このひと手間を加えることで、ぐっとミシンがかけやすくなるという。

9工程目は「まとめミシン」。組み立てたランドセルにミシンをかけていく。幾層も重ね合わせられた革を、角も合わせて太い針でまとめて縫い上げるため、非常に難しく集中力のいる工程だという。熟練の職人がこの工程を担当するそうだ。

そして10工程目の「検品」を経てランドセルが完成する。完成したランドセルはいったん倉庫に保管され、その後「一時保管センター」へ出荷。そこから全国の子どもたちの元へ届けられる。

なお現在、新しい取り組みとして3Dプリンターも試験的に導入されており、主に加工や組み立てに用いる補助道具の開発が行われている。伝統を守るに留まらず、新しい取り組みにも積極的に取り組んでいることがわかる。

○子どもたちからの手紙がなによりの喜び

土屋鞄に入る前から鞄をデザインする仕事をしていたという鈴木さん。土屋鞄に入社したいと思ったきっかけは、前職でサンプル職人と出会ったことだという。サンプル職人とは、量産型のひな形となる最初のサンプル製品を作る職人を指す。

「もちろん革が好きだからというのもありますが、ランドセルづくりでとくに面白いなと思ったのは、『絶対に6年間耐えるモノにしなければならない』という制約があるということです。他にないと思うんですよ、どんな登山リュックにしても、キャリーバッグにしても、何年間必ず使用すると想定しているカバンって」

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください