『おっさんずラブ』『ビリオン×スクール』瑠東東一郎監督、元カンテレ重松圭一氏とのタッグで作品に注ぐ「ありったけの情熱」
マイナビニュース / 2024年7月24日 6時0分
「海外ではいい作品を作ったらそれだけ高額なお金や権利を要求するのは当たり前。ですが日本には、ある特殊な文化がある。それは“謙虚さ”です。実際、日本の優秀な監督、スタッフさん、誰にお話を伺ってもすごく謙虚なんです。すごい作品を創られているのに“いやそんなことないですよ”と謙そんする。これはエンタメ業界に限らないことでしょう。もしかしたらこの謙虚という“美徳”がある意味でゆがみとなり、クリエイターの地位が上がりづらい原因になったのかもしれません」(重松氏)
重松氏はこの状況を危惧し、「g」を作り、クリエイターの権利や地位を守ろうとしている。日本人の美徳である謙虚で現場の熱量が減らないよう、「g」が盾となり交渉しようというわけだ。
「特に瑠東監督はクリエイティブにのめり込み過ぎる部分がある。その貴重な熱量を生かすために『g』に入ってもらい、面倒事は僕たちが担当。俯瞰(ふかん)して瑠東監督の苦手部分のかじ取りをやらせてもらっています」(重松氏)
こうしたクリエイターとかじ取り役のタッグで想起されるのは、スタジオジブリの宮崎駿監督と鈴木敏夫プロデューサーの関係だ。この2人に当てはめるのは多少強引ではあるが、クリエイターの情熱を守り、ある種コントロールする人がいることで、数々の名作が生まれたといういい例でもある。瑠東監督が持つ情熱や熱量、それが今後どのように花開くのか、期待せざるを得ない。
○視聴者をバカにすると絶対にしっぺ返しを食らう
そんな瑠東監督が現在取り組んでいるのが、『ビリオン×スクール』。日本を代表する財閥系グループのCEOの主人公・加賀美零(山田涼介)が身分を隠して高校の教師となり、生徒と共に成長する姿を描いたオリジナルストーリーだ。この作品にかける熱量を、瑠東監督はこう語る。
「僕は視聴者をバカにすると絶対にしっぺ返しを食らうと思うんです。例えば昨今の若者は結果が分かりやすいものが好きだから、とか、F3・F4層はこういうものが好きだからとか、妙に分析されていますが、いや、そんなことはない。くくること自体がおこがましい。それよりも、主人公がきちんと描かれているか、その人の言葉としてしっかり届けられるか。登場人物の気持ちは、心情は。
『おっさんずラブ』もそうでしたが、そこをちゃんと押さえて、僕らが感じる熱と面白さを乗せて作れば、若者だろうが古くからの年配のテレビっ子であろうが、絶対観てくれると思ってて。つまり視聴者に合わせるという消極的な考えではいけない。僕たちが面白いと確信できるものを、“観て笑ってほしい”、“心が動いてほしい”、“喜んでほしい”と。きちんと熱量を持って届ければ観てもらえるはずだと」(瑠東監督、以下同)
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