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知って納得、ケータイ業界の"なぜ" 第173回 総務省が打ち出す1万5000円の値引き緩和ではミリ波対応スマホが到底普及しない理由

マイナビニュース / 2024年7月23日 17時56分

画像提供:マイナビニュース

携帯電話向けに割り当てられたがエリアを広げるのが非常に難しく、活用が全く進んでいない「ミリ波」。総務省はそのミリ波を普及させるため、ミリ波対応端末の割引を緩和し、税抜きで最大で1万500円増額する案を打ち出しているのだが、それでミリ波の普及が進むとは到底考えにくい。なぜだろうか。
○ミリ波普及に向け対応スマホの値引き額を緩和

主として30GHz以上、日本では28GHz帯が相当する「ミリ波」。1GHz以下のいわゆる「プラチナバンド」と比べると周波数は非常に高いが、その分空きがあるので帯域幅、要はデータの通る道幅が非常に広いことから、従来以上の高速大容量通信が可能とされている。

実際、現状携帯4社に割り当てられている28GHz帯は400MHz幅。割り当て幅が3~15MHzのプラチナバンドと比べれば圧倒的に広いが、いま5Gの高速化を進めるのに携帯各社が整備を積極化している、6GHz以下の「サブ6」と呼ばれる周波数帯も、割り当て幅は100~200MHz幅程度。いかにミリ波の帯域幅がずば抜けて広いかが理解できるだろう。

だが非常に周波数が高いことから障害物に弱くて電波が遠くに飛びにくく、カバーエリアは「Wi-Fiスポット並み」とも言われ広い範囲をカバーするのには適さないとされている。それゆえ携帯電話会社もミリ波の整備には非常に消極的で、整備が進まないことから対応する端末が増えず、それを活用したサービスも出てこない……という悪循環に陥っており、5Gのサービスが始まってから4年が経過してもなお、全くと言っていい程使われていない。

だがそれは、ミリ波を割り当てた国の側からしてみれば非常に由々しき事態であることも確か。とりわけ日本では高い周波数帯の研究に力が入れられていることから、ミリ波の活用が進まなければ6Gでの利用が検討されている100~300GHzの「サブテラヘルツ波」の活用も進まず、研究が国益につながらない状況をも生み出しかねない。

そうしたこともあってか、総務省ではミリ波の普及に向けたさまざまな議論を進めており、その成果として浮上しているのがミリ波対応端末に対する割引額の緩和である。これは総務省の有識者会議「競争ルールの検証に関するWG」で議論が進められ、その報告書案に盛り込まれたものだ。

現在、携帯電話の契約に紐づいた端末の割引額は電気通信事業法で上限が設けられており、4万円以下(税抜き、以下同様)であれば2万円、4万円以上8万円までであればその半額、8万円以上であれば4万円までとされている。そこで今回の報告書案ではミリ波の普及を促進するため、ミリ波に対応している端末は割引上限額を1万5000円をプラスするとしている。

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