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知って納得、ケータイ業界の"なぜ" 第173回 総務省が打ち出す1万5000円の値引き緩和ではミリ波対応スマホが到底普及しない理由

マイナビニュース / 2024年7月23日 17時56分

そうしたスマートフォンはもちろん11万円を超えるので税抜き5万5000円、税込みであれば6万500円と、最大限の割引が適用できる。それゆえ仮に20万円のスマートフォンに割引を最大限適用した場合、13万9500円で購入できるのだが、それでも10万円を超えてしまうことから多くの一般消費者にとって購入しづらいことは変わらない。

加えて、今回の値引き規制緩和は8万円を切るミドルクラスのスマートフォンは実質的に対象外だ。もっと安いミドルクラス以下のスマートフォンをミリ波に対応させればいいのでは? という声も有識者会議などでは出ていたのだが、価格が競争力に直結する低価格のスマートフォンこそ、明らかにコスト増要因となるミリ波の対応はさせづらく、メーカー側も明確なインセンティブがなければ対応するモチベーションが働くことはないだろう。

それだけに総務省に求められるのはより大胆な値引きの緩和、例えばミリ波対応端末であれば元の価格を問わず1円までの値引きを認めるなどして、メーカー側にもモチベーションを与えてミリ波対応端末を増やし、普及を一気に進めることではないだろうか。

先の有識者会議においても、一部の有識者から最後まで「認めたくない」という声が挙がるなど、端末値引きには依然非常に強い反発の声があるのは確かだ。だがそうした声だけに答え続けていては、5Gに続いて6Gでも日本が“負ける”ことになりかねない。

5Gで中国が非常に大きな存在感を示したように、モバイル通信は今や国家戦略が大きく問われる時代となってきている。6Gに向けて日本の技術優位性を生かすには、国が明確な方針を立てて企業を支援する姿勢が求められるだろう。それだけに、政府が本気でミリ波の普及を推し進めたいのであれば、今回の割引案では全く足りないというのが筆者の正直な見方である。
(佐野正弘)



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