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知って納得、ケータイ業界の"なぜ" 第173回 総務省が打ち出す1万5000円の値引き緩和ではミリ波対応スマホが到底普及しない理由

マイナビニュース / 2024年7月23日 17時56分

それゆえ8万円までの端末はこれまでと値引き額の上限は変わらないのだが、割引額の上限自体が5万5000円に上がる。8万円以上11万円までのスマートフォンは端末価格の半分まで値引きが可能になり、11万円以上のスマートフォンは5万5000円の値引きができる計算となるようだ。

なぜ追加の割引額が1万5000円なのか? という点に疑問を抱く人も多いだろう。先の報告書案を確認すると、国内で販売されている同じ機種で、ミリ波対応端末と非対応端末の価格差が平均で約1万7000円だったことを踏まえたため、とされている。

○少なすぎる値引きの緩和、6Gで日本が再び“負ける”可能性も

長年にわたり業界の商習慣を根底から覆してまで、スマートフォンの値引きを厳しく規制してきた総務省が、ミリ波普及のためその緩和に動いたことが相当異例中の異例であることは間違いない。それだけに一連の総務省の取り組みは、従来ミリ波への対応に消極的な姿勢を取ってきた携帯電話会社や端末メーカーの姿勢にもやや変化を与えているようだ。

実際、KDDIの代表取締役社長である高橋誠氏は、2024年5月10日の決算説明会でミリ波の端末購入補助について言及。従来高橋氏はミリ波の整備に消極的な回答が多かったのだが、この時は「ミリ波のチップ代くらいインセンティブを出しても、という話が出ている。ミリ波開設計画通りに打っているが、全然使っていない状況ある。少しもったいないので活用をもう少し議論していきたい」と答え、トーンにやや変化が出てきている様子がうかがえた。

またシャープの通信事業本部 本部長である小林繁氏も、2024年7月2日のスマートフォン新機種体験会で「国を挙げての政策で、インフラをセットにして発展させていくアプローチは非常に正しいと思うし、期待している」と話しており、やはり端末購入補助に踏み切った政府の姿勢を高く評価している様子がうかがえる。

ただ、この案が通りミリ波対応端末に対する割引の緩和が実現したとしても、ミリ波対応スマートフォンの普及につながるのか? という点には相当疑問がある。現状、ミリ波に対応したスマートフォンはメーカー各社のフラッグシップモデルに限られ、その値段は20万円前後(税込み、以下同様)というのが当たり前。最近ではサムスン電子の「Galaxy Z Fold6」のように、最も高いモデルで30万円を超える機種も出てきている。

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