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どこでもサイエンス 第289回 8万円台のスマート望遠鏡「Seestar S50」はイケてるぞ

マイナビニュース / 2024年7月24日 7時15分

特徴としては、まず小さく軽量ということ。重さは2kg程度です。思い立ったら、ひょいともっていけます。それからポイント高いのが太陽フィルターが付属していることです。簡易なものですが、黒点の撮影に十分使えます。写真は太陽フィルターをつけた状態のSeestar S50です。

また、星雲を綺麗に映せるように、余分な光をカットするフィルターが内蔵しており、スマホの操作で切り替えられます。若干マニアックな機能ですが、通常は自動で切り替わります。

また、オートフォーカス機能があるのもポイント高いです。

ただ、30万とかいうものを8万円にしているからには、当然ながらいろんな割り切りがあります。

まず、肉眼でのぞけるビューファインダーはありません。完全にスマホで観察する形になります。これは多くのスマート望遠鏡がそうなってきているので、標準的といえばそうですね。

ギアはプラスチック製で精度と強度はすこし犠牲になっています。付属している三脚はなかなかよいものですが、長さが短くてベランダなどで使うのは難があります。長い三脚を別途用意しないといけません(通常のカメラ用そのままだとネジがあわないので1000円弱で買える変換ネジが必要です)。

天体の光を集めるレンズは5cmです。eVscopeは11cm、オデッセイPROは8.5cmなので集光力はだいぶ劣ります。そのため、フィルターが有効ではない銀河の撮影(写真参照)は弱いです。さらに、惑星の撮影は改良されたeVscopeよりだいぶ劣ります。根性なくて、夜中すぎでないと見えない土星、まだ撮影してみてないですけど。

でも、内蔵フィルターの威力で、星雲が図鑑のように見えたのは心底感動しました。こんなちっこいガジェットで、これが見える。しかも10分間くらい、素人でも難しい操作なしでできるのは本当にすばらしいです。

そして、その手軽さを利用して、連載第281回で紹介した、新星爆発のチェック&記録もできてしまいます。いまそういうキャンペーンが、日本変光星協会にて行われています。これマジに記録できたら、貴重な資料になるもので、そんなことまで可能なのはいいですよね。

ということで、スマート望遠鏡で安く登場したSeestar S50はかなりイケてますよ。

東明六郎 しののめろくろう 科学系キュレーター。 あっちの話題と、こっちの情報をくっつけて、おもしろくする業界の人。天文、宇宙系を主なフィールドとする。天文ニュースがあると、突然忙しくなり、生き生きする。年齢不詳で、アイドルのコンサートにも行くミーハーだが、まさかのあんな科学者とも知り合い。安く買える新書を愛し、一度本や資料を読むと、どこに何が書いてあったか覚えるのが特技。だが、細かい内容はその場で忘れる。 この著者の記事一覧はこちら
(東明六郎)



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