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昭和に取り残された中小企業を救ったkintone、夢の国をまねた『入り口は一つ作戦』

マイナビニュース / 2024年7月26日 11時0分

kintone否定派の意見も変わりつつあった。新たなアプリを実際に使った伝統文化人からは「これは便利だ。使えそう」と好評だった。また、Exceler対策としては、kintoneの一覧をExcelのような使い心地にする拡張機能「KrewSheet」を採用した。Excelライクなアプリにしたことで、Excelerたちは「見慣れた画面だからいい」と納得した。

その後は、さまざまな社員が自らアプリを次々に作り内製化を実現した。2024年6月には全部署へkintoneを展開し、kintoneのユーザー数は58人まで増えた。社内申請や伝票はほぼデジタル化に成功し、「ようやく桜和設備にも令和の時代がやってきた」と清水さんは胸をなでおろした。

kintone導入で得た気付き「今ではありえないことをしていた」

kintoneを導入することで得た気付きは少なくなかった。同社は2022年8月にプログラミングの知識がなくても5分程度でWebフォームを作成できるkintone連携ツール「FormBridge」を導入した。これにより年間1万5000件を超えるガスメーター取替依頼の24時間受付を可能にしたほか、休暇届や作業日報などに応用するなど社内での利用も進めていった。

FormBridgeによって業務効率化とペーパーレス化を実現しただけでなく、社員が抱えていたある悩みを解決できたという。

それは、作業服(ユニフォーム)の申請に関する悩みだ。年に2回支給されるユニフォームだが、FormBridgeの導入前は、昭和時代からの伝統で注文は紙で行われていたという。氏名と注文数に加えて、ブルゾンとカーゴズボンのサイズを紙に記入する必要があり、それを社員同士で回覧していた。そして最後は総務がExcelに入力するという、手間がかかる非効率な業務だった。

FormBridge導入後は、社員が各自で申込みできるようになり、一覧表は自動的に完成する仕組みになった。この仕組みは社員からも総務担当者からも大好評で、女性社員からは「紙回覧のときは、自分の服のサイズを記入することに抵抗があり、とても嫌だった。今はスマホやkintoneから申請できるようになって安心した」という感謝の声が多く寄せられたという。

清水さんは「今考えてみるとありえないことをしていた。昭和からの伝統だったので誰も気づかなかったが、kintoneが気付かせてくれた。kintoneがプライバシーを守ってくれた」と振り返った。

現場の要望でkintoneを使い始め、4年で全社展開できた桜和設備は今後、デジタル推進チームを新設し、kintoneの活用をさらに加速させていく。「全社展開はゴールではなくスタートだ。2年後、3年後には思いもよらない世界が広がっていることを期待している」と、清水さんは話した。

そして清水さんは最後に、夢の国の創始者であるウォルト・ディズニーの名言を借りて、こう語った。

「kintoneで作る夢のシステム・アプリは永遠に完成しない。想像力を生かし、常に新しいものを作り、古いものを改良していく。環境の変化とともに形を変えていけるのがkintoneだ」
(早川竜太)



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