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AIによってコンタクトセンターはどう変わるのか? 第3回 ボイスボットの導入が企業にもたらすメリットとは

マイナビニュース / 2024年8月6日 9時28分

しかしAIでは、こういったイレギュラーな質問に対応するのは困難です。「質問と回答を一つずつ進めていく」というのが一般的なボイスボットの仕組みです

このため、結局IVRと同じように、DTMF(Dual-Tone Multi-Frequency/電話のトーンキーで選択するもの)を利用するケースや「はい/いいえ」で答えられる質問のみでシナリオを作るようにリクエストされることもあります。

コンタクトセンターは、企業の印象を決めると言っても過言ではない重要な顧客接点です。このため、質問の仕方や発話の制限が多くなり、ユーザーのストレスになることは、導入企業側としては許容できません。このようなCXの視点は、テクノロジーの専門家であるAIベンダーにはカバーしきれなかったり、専門知識が十分でなかったりすることが多くあります。

したがって、導入企業側の「やりたいこと」とベンダー側の「できること」にギャップが生じて、導入企業側のボイスボットに対する不満につながるとも言えます。
AIの精度は勝手には上がらない

2022年に生成AIが話題になり、対話AIの可能性は大きくなりました。それもあってかAIは自動的に学習し、何もしなくても精度が上がっていくと思われる方も少なくありません。しかし多くのボイスボットでは、そのようなことはありません。よって、現状ではAIが顧客の言葉を正しく認識して、適切な会話をするための、継続的な精度改善が必要です。

改善には、「学習」と「メンテナンス」があります。

学習とはAIに教師データと呼ばれる、正しいデータを学習させることですが、音声認識の学習には、音声データと、正解であるテキストデータの2つが必要になります。つまり、テキストだけのチャットボットよりもボイスボットのほうが、精度向上に時間がかかります。数百時間から数千時間の会話を聞きながら、テキストにしていくという作業が発生します。

また、日本語は固有名詞が非常に多様で複雑な難しい言語です。筆者も当初は、「日本のAIなのに、日本の地名や人名が認識できないとは、どういうことだろう」と思ったものです。しかし、確かに日本語は外国語に比べて珍しい名前や特殊な読み方がたくさんあるため手間がかかり、ボイスボット導入は非常に高額になってしまう傾向にあります。

一方メンテナンスは、自然言語処理に関わるものです。わかりやすいのは、業界用語や企業ごとの独自用語をAIに学習させる場合でしょう。略語や通称などもあり、この用語を顧客も使うことがあります。これらは正式名称と同等の意味と学習させる必要があります。

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