電力クライシスに備えよ! 世界の潮流から読み解くデータセンターの今 第4回 世界的なAI活用で変革を迫られるデータセンターの電力調達戦略
マイナビニュース / 2024年9月9日 7時0分
このように、もはや海外ではデータセンターによるサステナビリティへの取り組みが当然のことであり、企業としての生存戦略のようになりつつあり、その目標に向けてどれだけ注力しているのかが、データセンターの競争力を決める指標として評価の対象になっている。
再生可能エネルギーの購入契約で2320万ドルのコスト削減を実現したEquinix
ここからは、シュナイダーが電力調達やサステナビリティ戦略の領域で支援した海外のデータセンター事例を紹介したい。ここまで述べてきたような指標のうち、REF=再生可能エネルギーの使用率に深く関わる部分だ。
北米を中心にデータセンター事業を展開するEquinixは、全世界33の市場にある100以上のデータセンターにおいて、2030年までに電力の100%をクリーンな再生可能エネルギーにすることを自社の目標としている。シュナイダーは、この実現のために様々な支援を行った。まず、CO2排出量をはじめとする環境負荷をデジタルで見える化するプラットフォーム「EcoStruxure Resource Advisor」を提供。これによって、電力などのエネルギーに関するデータをデジタル環境で見える化し、その後それらのデータから、電力会社との契約や請求料金の精査・分析により、自社のエネルギー調達を最適化し、また大容量の電力購入契約(PPA=Power Purchase Agreement)を3件締結することとなった。こうしたフィジカルPPA(=実際の電力小売契約と環境価値の取引とを併せて結ぶ契約)において、シュナイダーはEquinixと緊密に連携して取引成立をサポートしており、その中で105MWの太陽光発電と225MWの風力発電との新規契約を成立させている。
その結果Equinixは、以前は全世界で30%しかなかった再生可能エネルギー調達量を、3年後に82%まで引き上げることができた。エリアを北米のみに限定すると、すでに再生可能エネルギー100%の調達を達成している。
さらに、この事例で注目すべきは、北米での再生可能エネルギーによる発電価格が下がっていた年に契約を結んだため、オフサイトバーチャルPPA(=実際の電力小売契約を結ばず、環境価値のみを購入する契約)の締結により2320万ドルのコスト削減を同時に実現している点だ。アドバイザーとしてのシュナイダーのこれまでの知見やノウハウ、業界とのコネクションを活かしたEquinixの戦略的な調達によって、こうしたコスト削減につながったといえる。
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