佐野正弘のケータイ業界情報局 第132回 折りたたみスマホの先駆者サムスン電子、“AI推し”の新機種に透けて見える苦悩
マイナビニュース / 2024年8月2日 22時0分
実際Galaxy Z Fold6では、Samsung Notesで録音した音声の文字起こしや要約などができるほか、WebサイトだけでなくPDFファイルを翻訳することなども可能。通訳アプリの「リスニングモード」を活用することで、外国語の講演などもリアルタイムで翻訳できるようになったほか、独自の「Samsungキーボード」を用いれば、簡単なキーワードからメールの文章を生成することも可能です。
ビジネス関連以外でのAI活用も強化されており、写真の生成AI編集機能には「AIスケッチ」を追加。簡単なスケッチからリアルな画像を生成して写真に追加できるようになったほか、顔写真をさまざまなタッチのイラストに変換する「ポートレートスタジオ」などの機能も用意されています。これらの機能のうち、Samsung Notesに依存しないものはGalaxy Z Flip6でも利用可能なことから、とりわけポートレートスタジオなどは多く利用されることになりそうです。
早くも大衆化が進む折りたたみスマホ
それだけGalaxy AIを前面に打ち出しているだけあって、サムスン電子はGalaxy AIを取り入れた同社の折りたたみスマートフォンを、今後「折りたたみAIフォン」としてアピールしていく方針のようです。ですがなぜ、サムスン電子はなぜそこまで“AI推し”なのか? という点も気になるところです。
確かに、オープンAIの「ChatGPT」が注目を集めて以降、世界中で生成AIの大きなブームが起きているだけに、現在はありとあらゆる企業が生成AIの活用を打ち出すなど、生成AIブームの真っ只中にあることは確か。それゆえ、サムスン電子も生成AIの取り組みを強く打ち出してトレンドを押さえたい狙いがあるのでしょうが、昨今のスマートフォン市場を見ると、それだけにはとどまらない理由も見えてきます。
実は、世界的に見ると折りたたみスマートフォンを巡る競争はとても激化しており、とりわけこの分野で攻勢をかけているのが中国メーカーです。折りたたみスマートフォンは以前、開発にあたってディスプレイやヒンジなどの高い技術が求められたことから、作れるメーカーもサムスン電子など一部に限られていました。
ですが、数年のうちにそうした技術の汎用化が急速に進み、必要な部材などを購入することで開発も容易になっているのです。それゆえ、中国の新興企業を中心として折りたたみスマートフォンを積極開発するメーカーが増え、価格競争も加速しています。
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