“推し”が犯罪者になったら…日韓の反応、そして芸能界に望むこととは? 『成功したオタク』オ・セヨン氏に聞く
マイナビニュース / 2024年8月2日 18時0分
―― 推し活の大変さもありますが、「やっぱりオタクって面白いな」とも思いました。そういう部分は、どのようにとらえられていましたか?
オタクじゃない人がオタクを見ると、多分すごく不思議に感じると思うんです。よくわからない人のためにお金や時間を投じて、ある意味、犠牲精神みたいに見えるかもしれない。推しに対して持っているものは恋愛感情とも言えるかもしれないけれど、本当の家族、兄弟、子供みたいに思ってることもありますし。
オタクの中には、元々変で笑える人が多いというか、変わってる人が多いとは思います(笑)。映画にもたくさんのオタクが出てきていまして、アンケートを取ったわけじゃないけど、1番人気が私の母でした(笑)。次が元BIGBANGのV.Iのファンだったヤン・ヘヨンさん。はっきり言うところが人気でした。
――セヨンさんのお母さんは、チョ・ミンギさんのファンだったんですよね。
母も推しに問題があったんですが、さりげなく別の推し活を続けてるみたいで。今は『ソンジェ背負って走れ』というドラマにハマっています。娘が映画界にいるから、「ソンジェはここに行ってるけど、あなたも行かないの?」とか聞いてくるんですよ。
――ご自身は、本書の中では「今はドラマのオタクだ」とおっしゃってましたけど、そこからは何か変化などありましたか?
ちょっとこれは恥ずかしい話なんですけど、最近日本のドラマを観ていて、中でも木村拓哉の20年前のドラマを……(笑)。『GOOD LUCK!!』でパイロット役をやっている姿が、とてもカッコよくて。忙しくなるとなかなか観れないのですが、ちょこちょこ観たりはしています。
――今度も映画監督として活動されていくと思います。その中で芸能界に「もっとこうなってほしい」と思う姿はありますか?
冗談として、私自身が「インディペンデント映画界のアイドル」と言われたりもするんですが(笑)。たしかにいまは人前で立ったり広報をしたりする立場になっていると思います。そしてそういう人は、自分の仕事だけをちゃんとやればいいとは思わなくて、「映画だけちゃんと作ればいい」とか、歌手なら「歌が上手きゃいいんだ」とか、俳優なら「演技だけ上手ならいいんだ」とかでは、ないのだと。仕事をちゃんとやればいいというだけじゃなくて、正しく生きるということが大事じゃないかなと思います。
「間違いを犯しちゃいけない」ということは、難しいかもしれないけど、考えてみたら子供の頃から、「悪いことをしちゃダメだ」というのは普通に言われてることだし、例えば「ものを盗っちゃいけない」というのは倫理的な問題で、当たり前のことです。芸能界で大変なのはわかるけれども、人生を大切にして健康的に生きていくのは、芸能人にとっても望ましいのではないかなと思います。
■オ・セヨン
1999年、韓国釡山生まれ。2018年韓国芸術総合学校、映像院映画学科入学。映画『成功したオタク』が監督としての長編デビュー作となる。釜山国際映画祭ではチケットが即完売、大鐘賞映画祭・最優秀ドキュメンタリー賞ノミネート。韓国での劇場公開時には、2週間で1万人の観客を動員し、「失敗しなかったオタク映画」として注目を集めた。目標は、書いたり話したり、撮影したり編集したりする仕事を続けながら、ユーモアを失わずに生きていくこと。
(佐々木なつみ)
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