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大河原克行のNewsInsight 第313回 パナソニック、水素で工場電力を賄う新たな実証実験 - 純水素型燃料電池の"熱"活用

マイナビニュース / 2024年8月2日 16時43分

画像提供:マイナビニュース

パナソニックは、滋賀県草津市の実証施設「H2 KIBOU FIELD」において、パナソニック エレクトリックワークス社の純水素型燃料電池と、パナソニック空質空調社の、吸収式冷凍機(空調機)の熱連携による新たな実証実験を開始した。

H2 KIBOU FIELDは、世界初のRE100(Renewable Energy 100%)ソリューション実証サイトとして、2022年から運用を開始。太陽電池と蓄電池、純水素型燃料電池をEMS(エネルギーマネジメントシステム)による最適制御を行う「3電池連携」により、天候変動や需要変化に追随した形で最適なエネルギー供給を実現。草津拠点内の燃料電池工場で使用する電力を再生可能エネルギーで賄うことを目指している。過去2年間で900件の見学があったという。

今回の実証実験では、エネルギーと空調の領域における2つの同社環境配慮型製品を、独自技術によって連携。単独の事業や製品だけでは実現できない社会的な価値を創出し、脱炭素社会への貢献を目指すのが狙いだという。コージェネレーション(熱電併給)によるエネルギー効率向上や、既設空調の消費電力の低減を図れるという。

具体的には、純水素型燃料電池の発電時に発生する熱を、吸収式冷凍機の熱源として活用。吸収式冷凍機から出てくる冷水を利活用することになる。

H2 KIBOU FIELD内では、出湯温度の改良を施した5kWの純水素型燃料電池10台を用いるとともに、新たに開発した低温廃熱利用型吸収式冷凍機を1台設置。施設内の管理棟における冷暖房に利用する実証実験を行う。

実証実験を通じて、燃料電池のコージェネレーションによるエネルギー効率の向上と、冷暖房設備としての消費電力低減を図り、熱連携ソリューションの市場性や有効性についても検証する。

まずは1年間を通じて、四季の変化に対応した稼働実績を確認。省エネ効果は年間で50%減を目指すという。

純水素型燃料電池は、水素と大気中の酸素を取り込み、電気化学反応を起こすことで、電気と熱を生成する。一方、吸収式冷凍機は、熱を利用して熱交換を行い、冷水を作ることができる。この2つを組み合わせることで、新たな用途提案ができるのだが、これまでの製品では、純水素型燃料電池から回収できる熱が最高60℃であるのに対して、吸収式冷凍機に必要な熱源は最低80℃であり、20℃の乖離があり、純水素型燃料電池が発電時に発生する熱を、吸収式冷凍機の熱源として活用することが困難だった。

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