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大河原克行のNewsInsight 第313回 パナソニック、水素で工場電力を賄う新たな実証実験 - 純水素型燃料電池の"熱"活用

マイナビニュース / 2024年8月2日 16時43分

新たな取り組みでは、純水素型燃料電池と吸収式冷凍機双方で温度差を10℃ずつ歩み寄る改良を施し、70℃の熱で、燃料電池と空調機をつなぐ新たな連携を可能にした。純水素型燃料電池では、10℃引き上げた70℃の温水を吸収式冷凍機に入水。吸収式冷凍機で熱交換により作られた冷水を、業務エアコンの室外機に送り、管理棟の室内機に冷たい空気を送ることなる。

純水素型燃料電池は、水素と空気中の酸素を、発電部であるスタックに供給し、電気化学反応で電気と熱を発生。電気は工場で利用する一方で、熱は熱交換システムにより、温水として取り出すことができる。

パナソニック エレクトリックワークス社電材&くらしエネルギー事業部環境エネルギーBU 燃料電池・水素SBU 燃料電池技術部部長の龍井洋氏は、「燃料電池に供給する水素と空気は、耐久性を高めるために相対湿度100%で供給する必要がある。だが、高温化すると湿度は65%まで落ちてしまう。加湿の構成を見直すことで、100%の湿度で空気を供給できるようにした。また、新たに開発したメソポーラスカーボン(MPC)触媒を採用することで、従来比2倍の活性が可能となり、触媒のポテンシャルを向上させることで、耐久性を高めた」という。

さらに、「燃料電池から排出するお湯の温度をあげると、熱回収効率が減少するが、70℃に引き上げることで減少する部分を、熱回収構造の刷新によって改善した。従来は、空気が加湿器を介してスタックに供給されて、熱が機器の外に排出される仕組みだったが、回収した熱を使って、機器の外に出す水を加熱。エネルギー効率を向上し、10℃の上昇を実現した」としている。

一方、吸収式冷凍機では、打ち水と同じ原理で、水が蒸発する際に熱を奪う特性を利用。打ち水効果を連続的に発生させるために、吸収液が水蒸気を吸収し、連続的な冷水の生成を可能にしている。だが、吸収液は水蒸気を吸収すると徐々な薄まり、吸収力が弱まるという特性がある。もとの濃度に戻すために熱を使うことになるが、今回は、この部分を純水素型燃料電池の熱を使用することになる。

パナソニック 空質空調社設備ソリューションズ事業部設備ソリューションズ開発センター吸収式開発部部長の田村朋一郎氏は、「吸収液が入ったタンクのなかに伝熱管が配置され、温水が流れて、吸収液を加熱濃縮するが、この仕組みでは、吸収液の温度は原理的に55℃までに到達しない。今回の技術では、伝熱管の上段から下段に向けて滴下する方式を採用。吸収液の温度が徐々に上昇し、最下段では70℃の温水と熱交換することで、より高温に加熱濃縮ができるようになり、この部分で5℃の低減効果を実現した」という。

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