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同じワインがあっという間に、さまざまな味わいで楽しめる! 自動車部品メーカーが作った革命的なデキャンタ

マイナビニュース / 2024年8月22日 7時0分

実はこのデキャンタの秘密が気になって、記事を作るために5年ほど前に横山興業の本社を訪れたことがある。筆者は昔、雑誌の自動車担当だったし、国内外の大手自動車メーカーの工場現場をいくつも取材している。また自動車メーカーの広報誌やウェブマガジンにも自動車関連のマニアックな取材記事を書いている。だがその経験から考えても、なぜ自動車部品の会社から、こんな画期的なデキャンタが生まれたのか、わからなかったからだ。

訪れてみるとそこは、当たり前だが、まさに自動車部品工場そのもの。プレス加工機や溶接ロボットが休むことなく自動車の金属部品を加工・製造していた。工場内には製造途中の自動車部品が並び、完成しだいトラックに乗せて運ばれていくのだという。
○■秘密は「プレス加工の金型」づくりの職人技

この工場で「DC700 デキャンタ」は、どんな人の手で、どんな技術を使って作られているのか? 1本のワインでさまざまな香りや味が楽しめる「超ハイスピードなデキャンタージュ」ができるのはなぜなのか? このデキャンタの“要になる仕上げ”を行う工場の一角に案内してもらった。

そこでは熟練の作業者がひとつひとつ手作業によって、カップ内側の「バフがけ」を行っていた。バフがけは、プロが行う自動車のワックスがけなどでもおなじみの、円盤状の布などに研磨剤を付けて、モーターで回転させながら金属の表面を磨いて滑らかにすること。

ステンレス製のカッブの内側に、研磨剤を付けたバフを回転させながら適度に押し当てる。この作業を1個ずつ行っている。このとき、押し当てる時間や強さは作業する研磨職人のカンが頼り。このバフがけをすることで、カップの内側の表面に0.1ミクロン(1万分の1ミリ)単位の凹凸ができる。の凹凸を適度に残す“磨き分け”の技。そして生まれた表面の「適度な凹凸」が、ワインのエアレーションを促進してくれるのだという。

こうして作られたデキャンタの中に、ワインをグラス1〜2杯分入れて中でぐるぐる回すと、凹凸のおかげでワインと空気中の酸素が細かく撹拌(かくはん)され、ミクロの分子単位で混ざり合う。この仕組みによって、爆速でワインのエアレーションが進むのだという。

「これは金属部品をプレス加工で作るときに、製品の母型になる金型を作る工程、つまり最後に金型を精密に仕上げるときに欠かせない技術、職人技です。当社でもこの“磨き”で適度な凹凸を作れるのはわずか数人しかいません。だから生産が追いつかず、一時的に品切れになることがあります。そのときは、申し訳ありませんがお待ち下さるようにお願いしています」と、横山興業 代表取締役社長の横山栄介氏は語る。

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