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外科手術用ロボットから考えるソフトウェア定義型への転換と基盤ソフトの役割

マイナビニュース / 2024年8月15日 14時33分

画像提供:マイナビニュース

医療業界をはじめ、産業界はソフトウェア定義型(Software-defined)へと急速に変化しつつあります。「アナログ」なハードウェア技術に依存するのではなく、ソフトウェアによってシステム全体を制御することで、より洗練された機能の追加が実現し、オペレーションやコスト面での効率の向上など、多くの利点が生まれます。

その市場規模について、ボストン コンサルティング グループ(BCG)は「ソフトウェア定義型自動車 (Software-Defined Vehicle、SDV) の出現により、2030 年までに自動車業界に 6500億ドル(約100兆円、1ドル155円換算)以上の価値がもたらされる」との調査結果を公表しています。

ソフトウェア定義型への転換は、自動車だけでなく、医療機器やロボット工学などの分野で既に起きています。本稿では、医療機器の中でも最先端の技術が求められる「外科手術用ロボット」による手術支援技術に焦点を当てながら、基盤ソフトウェアに求められることを考察していきます。

医療業界で外科用ロボットが注目されている理由

手術用ロボットが提供するメリットは、外科医、医療チーム、患者のそれぞれに対して、多岐にわたります。まず、外科医はロボットの支援を受けることで、より正確かつ管理された環境で手術を実施できます。それによって人為的なミスを最小限に抑え、患者の安全性を向上させる効果も生まれます。

また、患者にとっての利点は、上記のような外科医に対するメリットを通じて手術の際に得られるものにとどまりません。ロボットの支援によって最小侵襲手術が実現することで、入院期間の短縮をはじめ、長期的な改善が見込まれます。

こうした医療の質を広範囲で向上させる効果を背景に、Grand View Researchが公表した外科手術用ロボット市場の調査では、市場規模は2023年に39億2000万ドルに達し、2024年から2030年にかけて年平均成長率(CAGR)9.5%で成長すると予想されています。

実際、整形外科、婦人科、泌尿器科、一般外科などの医療専門分野において、外科手術用ロボットの導入が着実に進んでいます。

整形外科では、膝関節全置換術や股関節全置換術などの手術にロボット支援手術が採用されており、ロボットシステムの精密な制御が、インプラントの正確な配置と関節機能の向上を可能にします。

また、婦人科でも、子宮摘出術などの複雑な手術で利用されています。外科手術用ロボットの「器用さ」によって、外科医は切開する部位をより小さい範囲に抑えられる効果が見込まれます。それにより手術時の侵襲がこれまでよりも軽くなり、患者の回復が早まると期待されています。
外科手術用ロボットにおけるソフトウェアの重要な役割

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