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外科手術用ロボットから考えるソフトウェア定義型への転換と基盤ソフトの役割

マイナビニュース / 2024年8月15日 14時33分

こうしたロボット支援手術の成功を大きく左右するのが、外科医とロボット間における高精度の通信を可能にするソフトウェアです。外科手術用ロボットに組み込まれたソフトウェアは、手術を成功させるために必要な細かな調整と、リアルタイムのフィードバックを外科医にもたらします。

現在、外科手術用ロボットアプリケーションの開発には、先進的なリアルタイムオペレーティングシステム(RTOS)が広く活用されています。RTOSは高性能かつリアルタイムの動作を保証するため、遅延や中断することなく、操作要求に即座に応答することを可能にします。これは、一瞬の判断が患者の予後に大きな違いをもたらす繊細な処置において、特に重要です。

RTOSのアーキテクチャでは、すべてのアプリケーション、ドライバー、プロトコルスタック、ファイルシステムを分離することが重要です。これにより、障害が発生したコンポーネントやプロセスの影響で、他のコンポーネントやカーネルが停止することを防げます。障害がもたらすパフォーマンスへの影響を最小限に抑え、速やかにシステムを再起動できます。

こうした重要性を踏まえ、BlackBerry QNXではRTOSに「マイクロカーネルアーキテクチャ」を採用しています。マイクロカーネルアーキテクチャは、故障時や異常発生時に人命を優先して安全側に動作させる「フェイルセーフ」と、予備の系統に切り替えるなどして機能を保つ「フォールトトレラント」の考え方を実現するよう設計されています。また、サイバー攻撃者による攻撃対象領域が小さいため、本質的な安全性が高まります。

外科手術用ロボットが、手術室内の他のデバイスとより密接に接続されるようになるにつれて、こうしたセキュリティ層の重要性はますます高まっています。

SoCとミックス・クリティカル システム

今、IT市場ではSoC(システム・オン・チップ )の採用が拡大しています。SoCとは1つの半導体チップ上にCPU、メモリ、I/Oポート、周辺機器などコンピュータシステムの主要な機能を集積させた回路です。高集積度の実現によるデバイスの小型化とコスト削減、機能間の通信距離が短くなることによる省電力、特定用途向けに最適化する設計による高性能性の実現などが、SoCのメリットです。

そして、SoCの利点を生かしたシステム実装方法として注目されているのが「ミックス・クリティカル システム」です。安全性の面で異なる重要度のタスクが共存するシステムを指します。SoCの多くは複数のプロセッサコアを含んでおり、重要度の異なるタスクを異なるコアに割り当てることで、干渉を最小限に抑えながら、リソースを効率的に利用できます。

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