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NTT、測定器なしで光ファイバ伝送路の状態を可視化できる技術を開発

マイナビニュース / 2024年8月21日 7時15分

画像提供:マイナビニュース

NTTは、光ファイバ伝送路の状態を測定器なしで、エンドツーエンドで可視化する技術を開発。商用環境を模擬した北米のフィールド網において、世界で初めて実証に成功したことを明らかにした。

NTT未来ねっと研究所 トランスポートイノベーション研究部 准特別研究員の笹井健生氏は、「光ファイバ伝送路の全長にわたる光信号パワーを、光ネットワークの端点に設置されている光トランシーバーから、 数分で可視化する技術を開発した。今回の実証の成功により、光ネットワークのデジタルツインの実現を大きく前進させることができ、IOWN APN(All-Photonics Network)におけるエンドツーエンド光接続の迅速な確立および保守への応用が期待できる」と述べた。

NTTグループが主導しているIOWN APNは、光信号を電気信号に変換することなく、エンドツーエンドで光接続することができ、大容量、低遅延、低電力な通信を可能にするのが特徴だ。

だが、光ネットワークのデータ伝送容量を最大化するためには、光信号パワーなどの光ファイバ伝送路の状態を、全長にわたって監視し、適切なレベルで制御する必要がある。そのためには、高度なスキルを持った作業者が、「光時間領域反射計(OTDR=Optical time domain reflectometer)」などの専用測定器を用いて、時間とコストがかかる測定や、NTT網外の測定を行う必要があった。

今回、実証した技術は、光ネットワークの端点に設置されている光トランシーバに到達する光信号だけを利用し、光ファイバ伝送路のエンドツーエンドの光信号パワーを、専用測定器を用いずに、数分で可視化することができるのが特徴だ。

笹井准特別研究員は「光信号パワーは、ネットワークの一部において、強かったり、弱かったりすると、データ伝送容量を最大化できないという課題がある。弱すぎると雑音に埋もれてしまい情報が届かなくなり、強すぎると非線形光学効果により、信号が歪み、正しい情報が伝送できない。こうした課題を解決するために光信号パワーの測定を適正に行い、適切なレベルに制御しなくてはならない」と前置きし、「光ファイバ伝送路のエンドツーエンドの光信号パワーを測定する際に、顧客が持つ他社ネットワークの光信号パワーへのアクセスがセキュリティの観点から難しいこと、このネットワークの光信号パワーに関する情報を得るために管理組織間交渉を含めると数時間から数週間かかり、伝送路の構築に時間がかかってしまうこと、伝送路の途中に異常が発生した場合には、専用測定器を用いた全ノードでの測定が必要になるという課題があった」と指摘する。

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