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富士通、ドラッグ・ロスの解消に向け治験領域でデジタル化を支援

マイナビニュース / 2024年8月27日 7時29分

後藤氏は専門分野である肺がんを例に、治験と個別化医療の重要性について説明した。以前の肺がんの治療選択は、がんの組織型による病理診断が基本とされていた。小細胞肺がんまたは非小細胞肺がんによって使用する薬剤が異なるといった具合だ。

しかし最近は、治療の選択肢が増えた。非小細胞肺がんにおいては複数の原因遺伝子が同定され、それに適した分子標的治療薬が選択できるようになった。しかし、各遺伝子変異が見られる割合は低く、それぞれ3%以下だ。そこで約10年前に立ち上がったのが「LC-SCRUM-Asia」である。同プロジェクトは、患者に無償で遺伝子スクリーニングの機会を提供し、希少がんをスクリーニングしている。

これまでに、約2万例の患者がこの取り組みに登録した。これにより、希少がんの患者と治験のマッチングに成功し、国際共同治験の国内実施に結び付けてきた。直近では、RET融合遺伝子陽性やROS1融合遺伝子陽性肺がんの国際共同治験を実施している。いずれも肺がんの約1~2%とされる。

後藤氏は「日本というアジアの極東の小さな国がこれらの国際共同治験に参加できたのは、LC-SCRUM-Asiaという基盤があったからこそ。従来の個別化医療では遺伝子解析の結果に基づいたレポーティングを研究事務局が手作業で実施していた。しかし今後は、遺伝子解析の結果を富士通およびParadigmのソリューションによってシステム化できるようになる。個別化医療の開発を進めるために、両者と連携しながらLC-SCRUMの基盤を拡大していきたい」と期待を述べていた。

治験特化LLM搭載の新オファリング「Patient-centric Clinical Trials」

治験文書の作成においては、現在も手作業で作成や管理がされている場合が多い。しかし、製薬企業が新薬開発のために作成する文書は数百にも及び、治験開始までに必要なドキュメントの作成期間は約6カ月とされる。

これに対し同社は、治験業務に特化したLLMを活用して、法令規制に則った表記と形式でドキュメントを自動作成可能な新オファリングを、Fujitsu UvanceのHealthy LivingからPatient-centric Clinical Trialsとして提供する。

先行して導入した検証の結果、文書作成の約80%の自動化に成功したという。これにより、富士通は文書作成の作業時間全体を50%削減できると試算している。新オファリングはこれまで熟練者が実施していた情報の検索や要約、法規制に則った表記や翻訳といった業務を支援する。
(熊谷知泰)



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