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NIBIOHNと大阪国際がんセンター、日本IBMが対話型疾患説明生成AIの運用開始

マイナビニュース / 2024年8月27日 6時0分

一方で、基盤構築作業における医療機関での臨床情報の収集システムは、医療現場における作業負担を軽減するとともに、収集したデータを大学や研究機関が適切に活用できるように、インフォームド・コンセントによる患者同意が必要になる。そのためには、患者への説明や同意の取得、問診による臨床データの収集など、適切・最適な内容で情報を収集するシステムを構築することが重要となっている。

日本IBMは同事業における役割として、医師や看護師が必要なデータを適切かつ手間をかけずに入手できるよう、生成AIを活用したソリューションの開発と動作検証を進めている。
4カ月で開発した「対話型疾患説明生成AI」

今回、同事業における進捗として、今年8月から乳がんの患者に対する対話型疾患説明生成AIを4カ月で開発し、運用を開始した。

大阪府立病院機構大阪国際がんセンター 乳腺・内分泌外科 主任部長の中山貴寛氏は「女性の乳がん罹患率は年々上昇しており、診療の複雑に伴う初診患者診療に説明を含めた多くの時間を費やす必要がある。また、乳腺専門医は減少しつつあり、十分な診療が行えない地域も多く存在し、将来的には開発したソリューションを各地域に展開して乳がん診療の均てん化を実現したいと考えた」と、開発に至った背景を説明した。

乳がんは、日本人女性のがん罹患数の中で最も多く、同センターにおける乳腺・内分泌外科の乳がん手術件数は2022年に600件を超え、根治性に加えて整容性にも配慮し、患者のライフスタイルや希望に合わせた治療法を選択するなど診療内容が複雑なため、疾患説明と同意取得におおよそ1時間を要していたという。

そのため、対話型乳がん疾患説明生成AIの導入により、説明と同意取得に要する時間の30%軽減を目指す。中山氏が指摘するように、全国では乳腺専門医は減少傾向であり、十分な診療が行えない地域が多く存在していることから、オンラインで同AIを活用することで、乳がん診療の均てん化により、医療の地域格差の是正を図ることが期待できるとのことだ。

また、医療の進化に伴い診察の複雑化が進む中で双方向のコミュニケーションが可能なシステムを、いつでもどこでも閲覧できる仕組みを提供し、患者や家族の疾患に対する理解が向上して不安を和らげるようにコンテンツのブラッシュアップを継続していく。

AIシステムの概要

AIシステムは、IBMのAI・データのプラットフォーム「IBM watsonx」でAI基盤を構築し、IBM watsonx.aiでサポートされている最新のLLM(大規模言語モデル)を活用。RAG(Retrieval Augmented Generatio:検索拡張生成)形式で開発した、AIアバターと生成AIチャットボットを組み合わせた双方向型の会話システムとなる。

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