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中小企業デットファイナンスの新潮流 第24回 2023年の資金調達環境の概観 創業ファイナンス

マイナビニュース / 2024年9月6日 8時0分

スピーダ(旧INITIAL)が公表している「Japan Startup Finance - スタートアップ資金調達動向」(2024年9月時点では2024年上半期版の資料が最新です)は、新聞や雑誌で引用されることが多いレポートです。調査にコストをかけており、過去に遡及してデータを訂正しているところが特徴です。最新の資料においても、5年前の調達社数が100件単位で更新・追加されています。直近の動向に関する厳密な議論をするための根拠として用いることはまだまだ難しいですが、目安として活用する限りは申し分ないです。直近5年の調達社数と資金調達額を列挙すると下記の通りとなります。「投資金額/件」は筆者が計算しております。

社数の観点では、コロナ禍の影響で一度伸びが鈍化したものの2022年まで増加を続け、2023年に減少しましたが依然としてコロナ禍前と同水準です。金額の観点においても1件当たりの投資金額の観点においても、2022年が最高到達点で2023年は減っていますが、まだコロナ禍前よりも高い水準を維持しています。調達環境が大きく崩れたとは言えないです。但し、今後の調査で2023年の数字が積み上がり「投資が減っていなかった」ことが判明する可能性が残っているので、2022年が相場の転換点だったか否かの判断は保留せざるを得ません。

VECの統計値とスピーダの統計値をグラフの形状を用いて比較したとき、トレンドは概ね一致するものの、2020年に投資件数が増えたのか減ったのかについて判断することが難しいです。言い換えれば、コロナ禍の影響の強弱がまだ判定できないということです。投資金額のピークが2021年だったのか2022年だったのかについても、考える材料が不足しています。来年以降に発表される数字を待ちながら、ゆっくり検討していきたいです。

ステージを問わずスタートアップ全体の資金調達状況を集計した結果は上述の通りなのですが、創業間もない企業のエクイティファイナンスについてもスピーダのレポートに記載があるので、抜粋して表にしました。「調達額平均値」は筆者が計算した数値です。

スタートアップ全体の動きとは異なり、設立後1年未満の国内スタートアップに対する出資の件数は2022年まで1,600件台~1,700件台の水準を維持して安定していましたが、2023年に大きく減りました。調達額も2023年に大きく減少しており、平均値と中央値の比較からは一部の企業が大型調達をした影響が窺えます。調達額の中央値は減少傾向にあり2023年は約500万円という状況で、創業間もない企業のエクイティファイナンス環境は非常に厳しくなったと言えそうです。
○【3】創業融資の実績

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