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日産が取り組む「スマート工程」とは? 自動車製造のゲンバは変わるのか

マイナビニュース / 2024年9月2日 11時30分

画像提供:マイナビニュース

少子高齢化が叫ばれる日本だが、現役世代にも人口減少の影響が出始め、労働力不足への懸念が強まりつつある。現状の働き方のままでは、社会が成り立たなくなるかもしれない。そんな危機感すら抱きたくなるほどだ。日本の基幹産業である自動車業界でも、状況は同じである。

そんな中で日産自動車は、自動車生産能力を維持するための新たな取り組みのひとつとして「スマート工程」の導入を進めている。自動車生産の現場は今、どのように変わろうとしているのか。日産のオンライン説明会で聞いた。

時短勤務者とベテランが相互サポート

2000年には総人口の68%だった日本の労働人口は、2020年の時点で59%まで減少した。2030年には総人口が減ったうえ、労働人口は58%に落ち込む見込みだ。2030年に必要とされる労働人口(需要)7,073万人に対し、644万人の労働力が不足するという予測も出ている。

労働力不足の解消には生産性の向上に加え、女性、シニア、外国人らの労働環境の整備が重要になる。そこで日産は、将来の労働力確保に向けて、多様な人材が活躍できる生産現場作りを進めている。

「スマート工程」実現に向けた最初の取り組みとして始めたのが「時間制約」からの解放だ。

日産の生産ラインは二交代制で、休憩時間を除いてフル稼働となる。従来は、このシフトで働ける人に生産ラインでの仕事に従事してもらうという考え方だった。しかしこれでは、育児のために時短勤務を行う従業員は日中の生産ラインに入れないことになる。

生産ラインには、車体に部品を組み付けて完成させる「メインライン」に加え、車体に組み付ける複数の部品を先に組み立てて大きめの部品とすることで生産性を高める「サブライン」がある。日産はこの仕組みを利用した交代勤務を考案。時短勤務者には、コアタイム(午前と午後の休憩時間に挟まれた日中)はメインライン、時短となる朝夕はサブラインで働いてもらうようにした。

その時短分を補うのが、高齢のベテラン従業員だ。腕が立つベテランの中には、高齢化による身体的な理由から、フルタイムでメインラインの作業に従事するのが困難な人もいる。こうした従業員には、時短勤務者と逆で、朝夕の短い時間をメインライン、日中はサブラインで活躍してもらうことにした。つまり、育児のある従業員と高齢の従業員が相互にサポートし合える仕組みを作ったのだ。これにより、女性を中心とする育児のための離職を防げるだけでなく、時短勤務を望む育児中の労働者も雇用できるし、熟練の従業員の雇用延長などにもつなげられる。

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