エンタープライズIT新潮流 第34回 「2025年のDX化の奈落」に落ちないための4つのヒント
マイナビニュース / 2024年9月9日 7時0分
2027年問題があるSAPのECC 6.0からの移行のプロジェクトに多くのリソースが取られているのも、この人手不足に拍車をかけています。ERPのような当たり前システム(SoR: Systems of Record)の移行プロジェクトにです。これでは、日本の企業の国際競争力がなくなるわけです。SoE(Systems of Engagement)と呼ばれる情報を活用したり、顧客エンゲージメントを高めたりするシステムこそ、競争力の源である現在の基幹業務システムであるべきなのです。
○Fit To GapからFit To Standardへ
人手不足はグローバル企業の日本法人が顕著で、GAFAM(Google、Amazon、Facebook、Apple、Microsoft)などの一部の除き、ブランド認知がないので必要な人員を確保することが大変難しくなっています。LinkedInのエンタープライズアプリケーションのベンダーの募集を観察すると、この状況がよくわかります。数カ月、下手をすると数年単位でコンサルティングやプロジェクトマネージャーが雇えていません。
そして、日本はいまだにエンタープライズアプリケーションの導入は、ITベンダーへの発注によるウォーターフォール型の開発で実施されています。これも失敗する大きな原因です。ウォーターフォール型開発では、大きなかたまりで開発するため、プロジェクトが複雑になり、途中での軌道修正も難しく失敗する可能性が増えます。
筆者が知るあるウォーターフォール型のERP導入プロジェクトでは、3年後にカットオーバーするという気の長いものがありました。そのプロジェクトも奈落に陥り、さらに3年を足した6年先の導入に予定が変わったようです。6年後だと世の中変わっていますよね......。
反対に、欧米ではERPの導入でも内製型のアジャイル型開発で導入されます。ベンダーはそれを支援する体制をとります。書籍『世界一流エンジニアの思考方』(文藝春秋 著者:牛尾剛)では、マイクロソフトのソフトウェアの専門家の言葉「ウォーターフォールは一切メリットがないのでやめておきない」を紹介しています。筆者もこれに同意します。
また、日本では企業のITへの理解が不足しており、既存業務に新しく導入するエンタープライズアプリケーションを合わせようとする傾向もいまだに強いです。Fit To Gapです。しかし欧米ではFit To Standardということで、エンタープライズアプケーションのベストプラクティスに大多数の業務を合わせて再設計し、残りの差別化部分だけ独自開発します。
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