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エンタープライズIT新潮流 第34回 「2025年のDX化の奈落」に落ちないための4つのヒント

マイナビニュース / 2024年9月9日 7時0分

Fit To Gapにしてしまうと、せっかくのパッケージアプリケーションがカスタマイズで複雑になり、普段通らないコードを動かすことで障害が発生する可能性が高まります。メンテナンスも大変です。これが、レガシーシステムをブラックボックス化した要因です。
○奈落に落ちないための4つのヒント

このように原因が見えてくると、成功のためには上記の反対のことをすればいいのです。
・エンタープライズアプリケーションの導入は、内製(導入する企業が主導)でアジャイル型開発で段階的に導入する。最初は小さく初め、状況をみて徐々に進化させる。
・導入するエンタープライズアプリケーションにあわせてBPR(Business Process Re-engineering)を行い、業務をパッケージアプリケーションに合わせる。基本的には標準機能とパラメータ設定で終わるようにする。他の企業との差別化が必要な部分のみカスタムで開発する。
・エンタープライズアプリケーションのベンダー選択において、機能の良さもさることながら、関係する質の高いエンジニアがどれだけ確保できるかを調査する。
・導入にはチェンジマネージメントをしっかり行い、計画的に導入を進める。

言葉で言うのは簡単です。内製かつアジャイル型開発、そしてパッケージに業務を合わせるというは、以前から必要性は言われていました。しかし、いまだに日本の企業はベンダー依存で進捗が芳しくない状況です。簡単な業務での内製化はツールの充実で進んできているように思えますが、エンタープライズアプリケーションの内製化はこれがカギなのですよ。IT部門の成熟度を上げない限り、失敗する可能性が高いです。

ウォーターフォール型で導入する場合は、エンタープライズアプリケーションのベンダー選択および導入をサポートするITベンダーのケーパビリティをよく調査する必要があります。担当するエンジニアがそのアプリケーションでどれだけ経験と知識があるかがポイントです。

初物ベンダーやエンジニアは、例え大きなITベンダーでも避けるのが無難です。エンタープライズアプリケーションはやはり固有のクセがありますからね。そして、パッケージアプリケーションに合わせた業務の変革が重要です。これは我慢のしどころです。

また、ERPレベルでは部分最適して、会計はこのERP、生産管理は違うERPのように、複数のERPの導入も避けないといけません。海外は垂直統合が進んでおり、例えば製造業ではERP、MES、IoTを垂直に統合して、製造現場のOTデータとITデータの両方を経営に活用する流れがあります。正直、あまり光が見えていませんが、このDX化奈落に陥らないために、IT部門の成熟度をぜひ高めてほしい限りです。

北川裕康 キタガワヒロヤス 35年以上にわたりB to BのITビジネスに関わり、マイクロソフト、シスコシステムズ、SAS Institute、Workday、Infor、IFS などのグローバル企業で、マーケティング、戦略&オペレーションなどで執行役員などを歴任。現在は、独立して経営・マーケティングのコンサルティングサービスを提供しながら、AI insideの Chief Product Officer(CPO)を担当。大学は計算機科学を専攻して、富士通とDECにおいてソフトウェア技術者の経験もあり、ITにも精通している。前データサイエンティスト協会理事。マーケティング、テクノロジー、ビジネス戦略、人材育成に興味をもち、学習して、仕事で実践。書くことが1つの趣味で、連載や寄稿多数あり。 この著者の記事一覧はこちら
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