1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. IT
  4. パソコン

窓辺の小石 第182回 テスラーの最終兵器

マイナビニュース / 2024年9月6日 16時45分

画像提供:マイナビニュース

ほとんどのGUIシステムには、クリップボードと呼ばれる機能がある。テキストや画像などをクリップボードに「コピー」や「カット」したあと、別のアプリケーションや同一アプリ内の別の場所に「ペースト」することで、テキストや画像の移動やコピーが行えるものだ。

クリップボードの発明者は、「ラリー・テスラー」(Lawrence Gordon Tesler)であるといわれているが、同等の機能は、1965年に作られたエディタ「TV-EDIT」に搭載されていた。ただし、このプログラムでは、コピーや削除したテキストの保存先を「Buffer(バッファ)」と呼んでいた。また、コピー、カット、ペーストの操作は「Store(保存)」と「Delete(削除)」、「Recover(復元)」と呼んでいた。

この機能のデータ保存先を「クリップボード(Clipboard)」、操作を「コピー(Copy)」、「カット(Cut)」、「ペースト(Paste)」と命名したのがラリー・テスラーである。カット&ペーストは、出版物の版下作成で使われていた言葉で、これをコンピュータ上の編集作業の表現に持ち込んだ。これにより、クリップボードへのテキストの移動はテキストが消えてしまう印象のある「デリート」ではなく、一時的に取り去れる「カット」と呼ばれるようになった。

テスラーは、先行するWYSIWYGワードプロセッサBravoをベースにGipsy(1975年)と呼ばれるワードプロセッサを開発した。このGipsyには、コピー、カット、ペーストの機能があったが、その保存先は、クリップボードではなくて「wastebasket(ゴミ箱)」と呼ばれていた。

Video Ethnography of “Gypsy” on Xerox Alto with Larry Tesler: Demonstration of Cut, Copy, and Paste
https://www.youtube.com/watch?v=Dhmz68CII9Y

クリップボードという名前は、テスラーがのちにApple社に移籍し、開発に従事したLisa(1983年)あたりから使われ始めたようだ。クリップボードの名前が使われたのは、Lisaでは、Windowsでいう「ゴミ箱」を「wastebasket」と呼んだため、別の名称を考える必要があったからだと考えられる。

Lisaで動作するワープロLisaWriteには、コピー/カット/ペーストの機能があった。LisaにはClipboardと呼ばれるクリップボードビューアー(クリップボードの内容やデータ形式などを表示するプログラム)が、搭載されていた。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください