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中小企業デットファイナンスの新潮流 第25回 私募社債の最新状況

マイナビニュース / 2024年9月13日 8時0分

また、社債権者にとって重大な利害を有する事項が生じたときは社債権者集会を開催する必要があるため、返済額を当面の間減額したり、返済期限を延長するためにステークホルダー間で合意形成を図る際の難易度が上がります。

2024年9月時点で約100銘柄の発行残高があり、償還日までの期間を3年と設定するケースが最も多く、期間4年の事例もあります。報道(2024年8月23日14:00配信のニッキンオンラインの記事『ベンチャーデットのSDF、融資実行 36億円超 運用額増やし需要に対応』、有料会員のみ)によれば、ベンチャーデットは融資期間1年でロールオーバーする例や元本据え置きが多いと言われているので、私募社債はより長期の資金ニーズに対応しています。

私募社債の発行者の視点でRBFやベンチャーデットと最も異なる点は、同時に複数銘柄を発行できることです。償還日が半年毎に異なる(例えばそれぞれ2.5年・3年・3.5年に設定する)銘柄を準備することで、支払利息の最適化を図るとともに投資家の多様なニーズに応えることが可能になっています。「社債間限定同順位特約」が付加されている銘柄が大半を占める理由も、同時に複数銘柄を発行しているからと言ってよいでしょう。

加えて、従来の銀行引受私募債との相違点として「分割制限」があります。Siiibo証券で取り扱う私募社債は「少人数私募」の枠組みに拠って投資家を募ります。少人数私募の要件として「取得勧誘の対象人数が50名未満(最大49名)」であることが求められます。私募社債の発行時に投資家が49名以下だったとしても、発行後の譲渡によって50人目が出現すると人数制限の潜脱行為になり得ることから、分割制限条項を設けて潜脱を防ぎます。具体的には「私募社債の総額を1口(最低購入額)の金額で割った口数が50口未満(最大49口)であり、かつそれ未満に分割できない」旨を定めています。

私募社債の契約条件について知りたい財務担当者は多いと思います。プレスリリースや報道機関のニュース等で私募社債を発行した企業の情報に接した場合、契約条件の概要について調べることができます。

株式会社証券保管振替機構のWebサイトへアクセスし、取扱銘柄情報→一般債振替制度→銘柄公示情報(一般債振替制度)の順に辿ると、銘柄公示情報検索の画面が表示されます。「銘柄名称(一部でも検索可能)」の欄に調べたい企業の名称を入力して検索すれば、払込日から発行残高が0となる日までの期間限定となりますが、払込日・償還日・社債の総額・各社債の金額・利率といった私募社債の概要が掲載されています。

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