「The職人」ベテランに聞く!建設現場で起きていること、これから起きること
マイナビニュース / 2024年9月20日 10時0分
今は新築はプレカットされた部材を組み立てるようになったので、その工程が要らなくなってしまいました。結果、新人の大工が建築の基礎を覚える機会が減ってしまったように思えます。
吉富: 言い方は悪いかもしれませんが、職人から作業員になってしまったような気がします。便利で効率は良くなっているでしょうけど。
豊崎: そうなんですよ。それが嫌なので私は新築から離れて、リフォーム専業に切り替えたんです。新築は便利になっていく分、職人としての付加価値を出しにくくなりました。その点、リフォームは個人の技術差が出やすいので、品質の差を提示しやすいんです。
小泉: どう品質の差を出していくかというところは大事です。電気工事も便利にはなりましたけど、結局は施工する人がどんな価値を生み出すか、そうした意識の差で、品質は左右されると思っています。
●建設産業で会社を経営する悩み
野原: 皆さんは会社を経営されているので、そういった変化を責任者として肌で感じられているかと思います。経営者としての苦労や苦悩といった面のお話も伺いたいと思います。
長年建設産業で働いてきて、今の時代だからこそ直面している課題や悩みにはどのようなものがあるでしょうか?
小泉: やはり人員不足が常にあります。電気工事の仕事はゼネコンから人数を集めるように求められることが多いですが、希望人数を集めるのが難しくなってきています。
ただ頭数が集まれば誰でもいいというわけではありません。自社で育成していくのはもちろん必要ですが、それでは足りないので、キャリア豊富な人に外注するケースも多くなります。
ただ最近は外注費が上がっているのが悩みどころです。いずれにしてもゼネコンからは品質とスピードを担保できる人を集めるように言われるので、なかなか大変です。
吉富: そうですね。フィルム工事も同じように人手が足りない、見つからないという状態が続いています。私も人手が足りない時には外注でお願いしていますが、やはりどこにいっても若い人がいません。お願いする人は大半が年上の方になり、今でも私が若い部類に入っています。
本当は自分のところで若い従業員を育てられるのが一番良いのでしょうけど、正直難しいです。実は……つい先日、唯一の従業員が辞めたいと言い出してしまって。どうやって若手と付き合い、育てていけばいいのか、本当に難しさを感じています。
野原: 人集めが難しいだけでなく、定着させるのも難しいと。
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