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ispaceが「RESILIENCE」ランダーを報道公開、月面に“家”を建てるペイロードも

マイナビニュース / 2024年9月17日 6時45分

追跡管制は、基本的に前回と同じく欧州宇宙機関(ESA)の地上局を使うが、今回は、JAXAの地上局も追加で使用できるようになった。ESAのみだと通信できない時間帯が生じるが、JAXAも利用することで、これを補うことができるという。

月面でのミッション期間は最長2週間。ランダーに越夜の能力はないため、月面における朝方に着陸し、太陽電池で発電できる昼間のみ活動する。日本初の月面着陸に成功した「SLIM」は、越夜の機能はなかったものの、これに成功していた。RESILIENCEも試す可能性はあるが、追加で地上局を使う費用が別途かかることもあり、未定とのこと。

ランダーはすでに熱真空試験や振動試験を完了しており、現在、全機能の最終点検を行っているところ。打ち上げの1カ月~1カ月半前くらいに、米国フロリダ州ケープカナベラルの射場へ輸送され、ファルコン9ロケットで打ち上げられる予定だ。


ローバーに搭載されるペイロードにも注目

ミッション2には、同社の欧州法人であるispace EUROPEが開発した「TENACIOUS」(テネシアス)ローバーが搭載される。今回公開されたランダーには、TENACIOUSのフライトモデルも搭載されており、一緒に見ることができた。

ランダー側には、鉄棒のような“コ”の字型の展開機構を搭載。TENACIOUSは、上面の中央でこの展開機構と繋がっている。月面に着陸後は、展開機構を反対側に回転させ、さらにアームも伸ばしてなるべく地表に近づけてから、吊り下げられたTENACIOUSを分離、月面に投下する仕組みだ。

TENACIOUSの後方にはスコップが搭載されており、月面でレゴリスを採取。その所有権を米国航空宇宙局(NASA)に譲渡するミッションを行う。地球に持ち帰るサンプルリターンミッションではないため、物理的な意味は何もないが、これは今後活発化すると考えられる月資源商取引のスキームそのものを実証するという狙いがある。

ミッション2に搭載されるペイロードとしては、このローバーを含め、これまでに以下の5つが公表されていた。

高砂熱学工業の月面用水電解装置
ユーグレナの藻類培養実験モジュール
台湾国立中央大学の深宇宙放射線プローブ
バンダイナムコ研究所のGOI宇宙世紀憲章プレート
ispace EUROPEのTENACIOUSローバー

今回、最後の6つめのペイロードとして、「ムーンハウス」を搭載することが発表された。これは、スウェーデンを拠点とするアーティストのミカエル・ゲンバーグ氏のプロジェクトで、月面に赤い小さな家を建てるという構想。ムーンハウスはTENACIOUSの前方に搭載され、月面に展開後、写真撮影を行う予定だ。

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