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どこでもサイエンス 第292回 火星の石、ですって?

マイナビニュース / 2024年9月18日 7時34分

画像提供:マイナビニュース

「火星の石」というワードがにわかに話題になっています。きたる2025年の万博で、日本政府が目玉展示にするというニュースが出たからでございます。1970年の万博ではアメリカ館の月の石が話題になったので、数百倍遠くにある火星の石で、55年の進歩を見せようということですが、そこで、はて? 火星からのサンプルリターンなんて成功したかしらん? ということで、火星の石について語ってみますよ。

あと200日ほど、2025年4月13日から大阪・関西万博が開催されます。その万博で日本政府は「火星の石」を展示すると発表しました。

日本は2010年、世界に先駆けて小惑星のサンプルをはやぶさ探査機にて採取し、持ち帰ることに成功しています。これは月以外のサンプルを着陸して直接採取としたものとして世界初でありました。ほかには、アメリカのスターダスト探査機が2006年にヴィルト2彗星から吹き出した物質を宇宙空間でとらえ、地球に持ち帰ることに成功しています。また、アメリカは2016年に小惑星ベンヌからのサンプルの持ち帰りに成功しています。

が、火星からのサンプル持ち帰りはまだ行われていません。

火星の直接探査の歴史は古く、1957年の人工衛星打ち上げから10年もたたない1964年には、アメリカの探査機マリナー4号が火星に接近。写真撮影に成功し、1976年にはやはりアメリカのバイキング探査機2機が火星に着陸し、現地にてサンプル採取と分析を行っています。
その後も、アメリカ、旧ソ連、ヨーロッパ、インド、アラブ首長国連邦が次々に火星探査機を成功させています。

なかでもアメリカは5台の火星探査車(ローバー)の運用に成功。最新のパーサヴィアランスは1トン以上の大型ローバーであり、ドリルで火星を掘り、火星のサンプルを採取しています。そして、そのサンプル地球に持ち帰ることになっております。ただ、その、追加で迎えのロケットを送って、ややこしい方法をついて、早くて2033年でございます。えー鳥嶋さんの見事なまとめがあるので、ご参照くださいませ。

ということで、火星で採取された石は、地球に来ておりません。

そうなると、なんでなんやと思いますね。小惑星から持ち帰るのに成功していて、火星探査機はわんさかあって、しかし、持ち帰りはまだおこなわれていない。

その理由は、火星が月より大きく、月より遠いことにあります。火星は地球より小さな惑星ですが、月に比べ2倍の直径があり、表面の重力は月が地球の1/6に対し、火星は2/5。距離は月が38万キロに対し、火星は近いときで6000万キロ、遠い時は4億キロと200~1000倍も遠くにあるのです。火星はロケットで脱出するのにエネルギーが必要ですし、長時間の航行をさせて宇宙船を届けさせないといけないので、難易度があがります。特に前者ですね。小惑星は事実上無重力に近いのですが、火星は着陸も離陸も大変なのでございます。

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