クラリベイトがノーベル賞有力候補22名を発表、2名の日本出身研究者も受賞
マイナビニュース / 2024年9月20日 7時0分
実際、100m2の水分解パネルからは1分間で3.7Lの水素と酸素が生成されていることも確認されているが、堂免氏は「100m2のサイズの水素生成システムを1ユニットとして、採算が見合う効率まで引き上げられれば、いくらでも大面積化ができるようになる」とし、その実用化レベルとしては最低でも太陽光エネルギーから水素エネルギーに変換できる効率として5%ほどで、「頑張らないといけない部分」と、今後のさらなる高効率化に向けた研究を進めていく意欲を見せる。
直近の研究成果としては、1段階、2段階の手法ともに相当良いところまでは研究が進んできたが、理論限界値を見ると、1段階で材料によるが17%~19%ほどまで行けることが期待されており、「現状、ここを何としても近い将来、できれば2~3年以内に5%以上を達成できる1段階の光触媒、ないし2段階光触媒の開発にこぎつけたい」(同)とする。
さまざまな役割を担う大脳の基底核
一方の彦坂氏の研究は、マサチューセッツ工科大学のAnn M. Graybiel氏、ケンブリッジ大学/カリフォルニア工科大学のWolfram Schultz氏との共同受賞で、大脳基底核のさまざまな機能を解き明かしてきたことが評価されたものとなる。
大脳基底核の出力細胞は2種類の核から出ており、そのいずれもが抑制系であることが知られているが、同氏は報酬の量を予測して“やる気”につなげる神経回路の一部であることや、価値あるものを見つけるための神経回路メカニズムを有していることなどを報告してきた。
今回の受賞対象となった論文は2010年に科学誌「Neuron」に掲載されたもので、引用件数は1500件以上だという。同氏の研究成果は、脳の生理学、大脳基底核、記憶と報酬、運動と動機付けなど、さまざまな分野にわたっており、うつ病や依存症のほか、多くの精神疾患の理解に役立っているとクラリベイトでは説明している。
研究だけでなく社会実装を目指す堂免氏
なお、堂免氏は今回の受賞に際し、「この賞は、受賞したほかの日本人研究者の面々を見ても皆さん優れた方々なので、その仲間に入れてもらえたことは非常に光栄」とする一方で「数年早かった」という想いも述べている。
これは、上述のとおり、現在進めている研究の完成にはまだ少なくとも数年かかると見ているため。「触媒だけを作って、実用化は企業に任せるという方法もあるが、光触媒を使って水素を取り出すことを事業化している企業は世界でもまだない。研究者として、それが可能であることを証明する必要がある。これまでに100m2のパネルを用いて原理の証明はできたが、コストをどこまで下げられるかを無視してサイズを拡大できることを証明しただけ。大面積に展開して、本当に安い水素を作れるかどうかはこれから」と、今後も研究を継続していく意欲を強調していた。
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