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大人のインフラ紀行 第2回 ダイナミックな人工瀑布 - 首都圏最大級「宮ヶ瀬ダム」の観光放流は、一大エンターテインメント

マイナビニュース / 2024年9月25日 11時30分

画像提供:マイナビニュース

インフラツーリズムとは、公共施設である巨大構造物のダイナミックな景観を楽しんだり、通常では入れない建物の内部や工事風景を見学したりして、非日常を味わう小さな旅の一種。

いつもの散歩からちょっと足を伸ばすだけで、誰もが楽しめるインフラツーリズムを実地体験し、そのすばらしさを共有することが本コラムの目的だ。

今回は首都圏最大級のダム、神奈川県の山間に位置する「宮ヶ瀬ダム」の探訪記である。

○思わずあの映画の名シーンが頭に浮かんだ観光放流

2024年9月某日、日曜日の昼下がり。

人々が見つめる先は、眼前にそびゆる巨大なコンクリート壁に設けられた二箇所の放水口だ。定刻の数分前になると、間もなく放流を開始する旨を告げるアナウンスが流れた。

使い古した容器を打ち鳴らし、その時を待ちわびる薄汚れた群衆は一瞬鎮まり、人々から滲み出るはち切れそうな期待感が、渦となって場を包んでいく。

「く、来るぞ……」

誰からともなく、支配者である彼の名を呼ぶ声が起こり、そこにいるすべての人による大コールへと変わっていった。

「ジョー! ジョー! イモータン・ジョー‼ ジョー! ジョー! イモータン・ジョー‼」

放水口から2匹の白い大蛇のような清流がするすると奔出し、ほどなくドドドーという轟音を伴う激流へと変わった。

歓喜と殺気が入り混じる群衆は、我先にと落水地点へ詰めかけ、今日から数日間の命を繋ぐための水を得ようと争うのだった……。

というのはもちろん嘘で、宮ヶ瀬ダムで定期的に行われる放流を見るために集まっていたのは、薄汚れた死にかけの群衆ではなく、楽しげで幸せそうな観光客たちである。

人々が掲げていたのは使い古しの容器ではなく、放流を撮影するためのスマホだし、立ち入りを制限された先に放流される水に触れられるわけもない。だけどこの瞬間に、あの映画のあのシーンを頭に思い浮かべていたのは、きっと僕だけではないはず。

宮ヶ瀬ダムで4月〜11月の毎週水曜日、第2・第4金曜日、第2日曜日(および不定期なイベント放流日)の午前11時と午後2時に行われる観光放流。

毎秒30立方メートルもの大量の水が、6分間にわたって目の前を流れる様はまさに見ものである。放流はあくまで観光用のものであり、発電や水量調整といった、ダム本来の目的を伴うものではない。

プログラムどおり6分間で放流がピタリと止まると、集まった人々は皆、「すごかったねー」と満足そうな表情を浮かべ、その場から散っていく。

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