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地域の魅力を発掘する「ローカルディグ構想」とは? NoMaps2024で見つけた新たな地域共創のカタチ

マイナビニュース / 2024年10月9日 10時0分

もうひとりのパートナーは阿部千春さん(北海道庁 縄文世界遺産推進室の特別研究員)。今回のローカルディグの舞台となる函館市南茅部地域で、中空土偶の国宝指定に携わり、北海道・北東北の縄文遺跡群のユネスコ世界遺産登録では推進役を果たしました。

阿部: 南茅部は函館の市街地から東へ車で1時間ほど。海岸線に沿って30キロほど細長く続くエリアに、約90カ所の縄文の遺跡があります。一般的に人々の定住を可能にしたのは農耕と牧畜ですが、縄文文化は漁労などの狩猟採集だけで定住を実現し、それが1万年も続いたところに特徴があります。世界的に注目を集めていますが、その価値や魅力をより広く伝えたいとプロジェクトへの参加を決めました。

地域の魅力を掘り起こすには?

3人の自己紹介がすんだところで本題のトークセッションがスタート。「ローカルディグ」で地域の魅力に向き合う楽しさや面白さについて話し合いました。

木野: 先ほど「地域の資源とアートを掛けあわせる仕事」と言いましたけど、僕は「アート」という言葉は使わないようにしています。どこか高尚なもの、暮らしとは関係のないものと、地元の人に距離を置かれがちだからです。代わりに使うのは「文化」。幅広くてひとことでは言えない概念ですけど、僕は「一人の人が生きて死ぬまで」が文化だと捉えています。それなら、おばあちゃんの残した味とか言葉とか、全部ふくまれるじゃないですか。「アート」と言うと一部の人しか興味を持ってくれないけど、「文化」ならみんなが関われると思っています。

なるほど。高齢化が進み、若い世代が少ない地域でも、多くの人に興味を持ってもらうための言葉選びが大切要なんですね。これは参考になります。

阿部: 縄文文化がなぜ栄えたかというと、豊かな自然環境があったからです。南茅部は目の前が海、背後は山、そして60本近い河川がある。食料も飲み水もすぐそばで手に入る一等地でした。そして縄文の人々は、自分たちの命は動物や植物に支えられたものとして捉えていました。こうした縄文文化の精神性は、ピラミッドや姫路城のようにモノとして目には見えません。だからこそアートの力、プラスそれをプロダクトとして商品化していくデザインの力が大事になるだろうと考えていました。

そうか、アートやデザインには、土地に眠っているカタチのない価値や魅力を、可視化してアピールする力がある。すごく分かりやすくて説得力があります。
一過性ではなく持続性のある活動にするために

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