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2024年5月に日本各地でオーロラを起こした太陽嵐の電波観測に成功、名大とNICT

マイナビニュース / 2024年10月2日 6時55分

画像提供:マイナビニュース

名古屋大学(名大)と情報通信研究機構(NICT)は10月1日、2024年5月11日に日本各地でオーロラを起こしたと考えられる複数回発生した大規模な太陽嵐の電波観測に成功したことを発表した。

同成果は、名大 宇宙地球環境研究所(ISEE)の岩井一正准教授、NICTの塩田大幸研究マネージャーらで構成される研究グループによるもの。詳細は、9月11日~13日に神戸大学で開催された「日本天文学会秋季年会」にて口頭発表された(発表日は9月11日)。

2024年5月上旬に、太陽活動が活発な状態となり、複数回の大規模な「太陽フレア」が発生したのに伴い生じた「太陽嵐」が地球に到来し、地球周辺環境に大規模な擾乱現象(磁気嵐)を発生させたことが確認されている。日本でも5月11日(日本時間)に、通常は極域でしか観測できないオーロラが観測されたほか、当該期間中には衛星ナビゲーションにおける誤差の増大や、短波通信に障害があったことなども報告されており、太陽嵐による擾乱との関連が調べられている。こうした影響を踏まえ研究グループでは今回、5月11日の大規模な地磁気擾乱を起こした太陽嵐から時間軸を遡っての電波観測結果を分析することにしたという。

太陽嵐は、太陽表面で生じた太陽系最大の爆発現象であるフレアによって、太陽の大気であるコロナの一部が超高速の爆風として惑星間空間に放出されたもの。高エネルギーのプラズマの塊であり、電波を散乱する性質がある(放射線(X線)も発生する)。そうした太陽嵐を検出するには、太陽系外の電波天体を観測した際の電波が散乱されて強度が激しく揺らぐことを用いることで可能だという。

ISEEでは、国内3か所に設置された大型電波望遠鏡群を用いて、太陽嵐を検出するための地上電波観測を連続的に行っており、今回の研究では、愛知県豊川市に設置された約4000m2の面積がある国内最大級の電波望遠鏡で観測されたデータの解析が行われた。

小規模な太陽フレアは常に発生しており、それに伴い、それほど威力の無い太陽嵐は常に発生している。これは、惑星間空間は常に太陽風が流れているということを意味し、程度の差はあるが、電波天体からの電波はこの太陽風によって毎日散乱されていることが検出されている。今回の解析からは、4月29日の時点ではまだ太陽活動が活発化していなかったが、太陽嵐が地球に到達する直前の5月10日の観測では、非常に多くの天体から大振幅の散乱反応が得られていたことが確認されたという。

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