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吉川明日論の半導体放談 第315回 IPOという大きな夢に前進するCerebras社

マイナビニュース / 2024年10月8日 7時5分

Cerebras社のホームページなどで窺えるのは、WSEでの基本的な考え方は「冗長構造による不良の最小化」で、アムダールがTrilogy社で目指した目標と同じである。そのとんでもない技術を300mmウェハで製品化したCerebras社の設計技術陣と生産を請け負ったTSMCの力量には頭が下がる思いである。Cerebrasの創立がジーン・アムダールが92歳で没した2015年だったというのも、何かの符号を感じる。
夢を追い求めたSeaMicro社の懲りない連中

そんなことを考えながら、Cerebrasのホームページで経営メンバーを眺めていたら、興味深い事に気が付いた。

アンドリュー・フェルドマン(CEO)、ショーン・ライ(CTO)、マイケル・ジェームズ(主任アーキテクト)といった創業メンバーの殆んどが2007年に高密度サーバー製品にフォーカスして創立されたSeaMicro社出身のエンジニア達であることだ。

クラウドビジネスが拡大し始めた当時、低消費電力・高性能・高密度のサーバーには多くの注目が集まり、SeaMicro社は2012年にAMDによって買収された。当時、AMDはOpetronでの実績をばねにサーバー市場への進出に躍起になっていた。

Intelが牛耳るサーバーCPU市場に打って出るには、Opteronの成功を引き継ぐ特色のある製品を開発しようと模索していた時期で、SeaMicroが持っていた高密度サーバーのシステム設計技術は当時AMDが開発していたARMベースCPUのプラットフォームにはもってこいだった。SeaMicro社の経営陣にとってもAMDが開発する低消費電力のCPUは大変に魅力的だったに違いない。こうした背景で成立したAMDによるSeaMicro社買収であったが、2015年協業プロジェクトは突然打ち切られた。AMDはハイパフォーマンスのZenアーキテクチャーに注力するために、ARMベースでCPU開発を進めていたK12プロジェクトをキャンセルしたことが原因らしい。私自身はすでにAMDを退社していたので、これらの背景については全く承知していないが、Cerebras社はこの年に創立された。多分SeaMicro社出身のエンジニア達は揃ってAMDを退社し、新しいアイディアの実現のためにCerebras社を立ち上げたのだと察する。
AI市場で勝負を仕掛けるCerebras社

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