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SNSや匿名掲示板で起こる芸能人・一般人への誹謗中傷…“開示請求”事例や手続きについて弁護士が解説

マイナビニュース / 2024年10月10日 11時0分

「名誉感情侵害」で問題になりうるのは「限度を超える侮辱行為」かどうかです。線引きが難しいところですが、投稿内容や投稿の前後の文脈、投稿の経緯などを踏まえて判断されます。

例えば何の脈絡もなく、特定の芸能人に対し、容姿や能力に対する否定的な言葉を投稿した場合は、名誉感情侵害と判断される可能性があります。一方で、番組や作品の論評の中でそれらの言葉が登場する場合などは、文脈によって名誉感情侵害にあたらないとされる場合があります。ただし、ひどく侮辱的な言葉を使っていた場合、また「死ね」と言った直接的な罵声などは名誉感情の侵害にあたるとして、開示請求が認められることが多いです。

――本人へのコメントやDMだけでなく、自身のSNSアカウントや動画、ブログなどでの発言も開示請求にあたりますか?

第三者のSNS上のリプライやコメントだけでなく、投稿者自身のSNSアカウントや動画、ブログ、または匿名掲示板で投稿をした場合も、発信者情報開示請求の対象となります。

その一方で、開示請求の対象にならないものもあります。具体的には、電子メールやSNSのダイレクトメッセージ(DM)です。「プロバイダ責任制限法」は、開示請求できる対象を「特定電気通信による情報の流通によって自己の権利を侵害されたとする者」(プロバイダ責任制限法5条)と定めています。ここでいう「特定電気通信」とは、「不特定の者によって受信されることを目的とする電気通信」(プロバイダ責任制限法2条1号)を意味するとされており、具体的にはインターネット上において公開された投稿を指します。電子メールやDMなどは、一対一の通信であり「不特定の者によって受信される」通信とはいえないため、対象になりません。
○開示請求からの民事裁判で、損害賠償請求に

――実際に開示請求を行う時には、どういう動きになるのでしょうか?

対象となるコメントが投稿された場合、まずはSNSサイトや電子掲示板の運営会社(運営者)であるコンテンツプロバイダに対して、「発信者情報開示命令の申立て」や「発信者情報開示仮処分命令の申立て」という裁判を起こします。コンテンツプロバイダから迅速に発信者情報の開示を得るために、2つの裁判を並行して起こす場合もありますし、いずれか一方の裁判だけを起こすこともあります。

裁判所において、「被害者の権利利益を侵害する違法な投稿である」と認定されると、コンテンツプロバイダからIPアドレスやタイムスタンプ(投稿日時)といった通信記録(アクセスログ)が開示されます。その後、被害者は開示された通信記録から、発信者が投稿に利用した接続プロバイダを調査し「発信者情報開示命令の申立て」という裁判を起こします。こちらでも違法な投稿であると認定されると、接続プロバイダから、発信者の氏名、住所、電話番号、電子メールアドレスなどが開示されます。

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