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心疾患検出の手軽な新手法 - TDKなどが通常環境下での心磁計測技術を実証

マイナビニュース / 2024年10月9日 21時35分

画像提供:マイナビニュース

TDKと東京医科歯科大学(TMDU、現:東京科学大学)は8月29日、磁気シールドルームレス環境での心臓活動計測が可能な座位型の心磁計を試作し、同環境下においてMR磁気センサによる心臓活動の計測に成功したことを発表した。

この発表に際し両者は記者説明会を行い、心磁計測を可能にしたデータ処理手法などについて説明するとともに、将来的な心磁計の活用可能性について言及した。

○磁気センサを活用した心臓活動測定技術の共同研究

電子部品メーカーのTDKは、これまで培ってきた電子部品関連技術を活用し、事業の成長につながる新たな製品領域の拡大を画策している。その一例に、同社がHDDヘッドの製造において獲得してきた磁性材料技術を活用した磁気センサがあり、同センサによる新たな可能性の探索として、TDKは2014年ごろからTMDUと共同で、高感度磁気センサを用いた心臓活動測定技術の開発を行っているという。

この共同研究では、2016年に心臓の磁場分布の測定に初めて成功すると、2019年には心臓活動のリアルタイムモニタリングに成功するなど、数々の発表を重ねている。そして今回両者は、これまでの心磁計測が磁気シールドルームの内部でしか行えなかった点に着目。磁気シールドの無い通常の検査室においても計測が可能な心磁計の開発に挑んだとする。
○周囲環境に左右されない心磁計測の実現へ

心磁計は、心臓の電気的活動によって発生する微小な磁場を計測することで、心臓の動きを非侵襲的に明らかにするもの。心磁計測では心電図とほとんど同じ波形を得ることが可能で、電極の貼り付けなどを必要とする心電計測に比べ、非侵襲かつ非接触で測定が可能である点が特徴だ。

ただし、従来の心磁計は臨床で広く使用されるには至っていない。その一因には、磁気センサとして超伝導量子干渉素子(SQUID)を使用していることがあるとのこと。測定の妨げとなる、電子機器などに由来する周囲の環境磁気ノイズを遮断するために、幾層もの金属からなる大規模な磁気シールドルームを必要とする上、液体ヘリウムによる冷却が不可欠で維持コストが増大するなど、医療機関への普及にはいくつもの課題が残されていたという。

そこでTDKとTMDUは、TDKがHDDヘッドの製造で培った薄膜技術およびスピントロニクス技術を応用して開発した高感度磁気センサ「Nivio xMRセンサ」を用い、シールドルームでなくても心磁を検知可能な心磁計の開発に着手。常温で駆動する同センサの感度を高めるとともに、±45μT(テスラ)という広いダイナミックレンジを実現した。

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