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心疾患検出の手軽な新手法 - TDKなどが通常環境下での心磁計測技術を実証

マイナビニュース / 2024年10月9日 21時35分

またTDKは併せて、ソフトウェア側で環境磁気ノイズを除去するためのアルゴリズム開発を行ったとのこと。心磁と同時に取得した環境ノイズをリファレンスデータとして使用し除去する「Adaptive Noise Canceling(ANC)」と、センサアレイ上で常時生じるノイズを別で計測したのちに、その分布を利用してノイズ除去を行う「Bayes-SSP」を開発し、信号処理による環境ノイズ除去を実現したとする。
○精度向上の鍵はデータ処理手法

そして今回TDKとTMDUは、シールドルームレスでの心磁計測を実現するため、42個のNivio xMRセンサを組み込んだ座位型心磁計測システム「STORM system」を試作。東京医科歯科大学病院(現:東京科学大学病院)内の検査室に設置し、40名の健常者を対象に心磁計測が行われた。

計測にあたっては、計測対象者はセンサが組み込まれた部分に前からもたれかかるようにして座り、胸部前面からの計測を2分間実施したとのこと。また検証用のリファレンスデータとして、心電図も同時に計測したという。

その後は計測データをもとに、環境ノイズの除去効果、およびリアルタイム波形での心拍検出可否をそれぞれ検証するため、2種類の方法で正確性の検討が行われた。
○加算平均により多角的な波形取得に成功

前者の検証としては、計測されたデータにデジタルフィルタ処理を加えたのち、先述のANCを行い外部ノイズを除去。そして取得された繰り返し波形の加算平均によってさらにノイズを低減したのち、Bayes-SSPによって振動などのノイズを除去することで、より正確な波形に近づけたとする。その結果、シグナルノイズ比(SNR)を35dB程度まで向上させることができたとのこと。この結果についてTMDU大学院 医歯学総合研究科 循環制御内科学分野の笹野哲郎教授(当時)は「心電図計測とほぼ同等の波形を得ることができたと言える」と話す。また今回のシステムが優れている点として、「42個並んだセンサそれぞれが、心臓との位置関係を反映した異なる波形を取得するため、心臓がどのように動いたかに関するより細かな情報を得ることができる」と語った。

○特異値分解で高精度での心拍検出を実現

またリアルタイム波形の計測については、心磁計測データにデジタルフィルタ処理およびANCを施してから、行列計算による特異値分解を実施。これにより、ANCまでの作業完了時よりも明瞭な波形となり、42個の波形データから心拍検出に適したものを自動で選択でき、その波形を心電計測の結果と比較したところ、99.9%という高い精度で心拍の検出に成功したとする。

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