DXとセキュリティをともに推進するポイント 第1回 企業に競争力とセキュリティのリスクをもたらすDXを再考する
マイナビニュース / 2024年11月18日 15時19分
政府の後押しもあり、DX(デジタルトランスフォーメーション)はあらゆる企業が取り組む中核的な経営課題に位置付けられている。企業が優位性を維持するためには変化を続ける必要があり、その変化はデジタル技術により加速される。
競争は国内だけでなく、海外の同業他社や、さらには破壊的なイノベーションと共に参入してくる新しいプレイヤーも存在する。デジタル技術が介入しない領域は例外的とも言え、DXは企業戦略の一分野ではなく、生き残り、繁栄するための中核戦略であると言える。今回は、DXの本来の目的の再確認とDXによるビジネス環境の変化について説明する。
DXレポートとその背景を改めて振り返る
DXが広く認知されたきっかけは、2018年に経済産業省が公表した「DXレポート」であった。レポートではDXのことを「新たなデジタル技術を活用して新たなビジネス・モデルを創出・柔軟に改変すること」と定義している。また、「ITシステム『2025年の崖』の克服とDXの本格的な展開」と副題がつけられたように、2025年の崖に向けた対応が目的であった。
2025年の崖とは、経営面、人材面、技術面などにおける課題が顕在化することにより、このまま対策を打たないでいると2025年から2030年に1年あたり最大12兆円規模の大きな損失が発生するとして鳴らされた警鐘である。
その具体例としては、既存システムが事業部門ごとに構築されて全社横断的なデータ活用ができない、あるいは過剰なカスタマイズがなされていることにより、複雑化・ブラックボックス化していることなどが挙げられる。
DXレポートでは、システムの維持管理費の高騰だけでなく、データの活用を阻害し、効率化やイノベーションの恩恵が受けられないことにより、競争の敗者になる恐れも指摘している
人材面においても、IT人材は2015年時点でも既に約17万人が不足していたが、2025年には約43万人に拡大する予測となっている。ブラックボックス化、サイロ化されたシステムを把握しているIT人材の高齢化やリタイアといった要因もある。IT人材の不足によって保守運用まで手が回らなくなり、事故・災害によるシステムトラブルやインシデントによるデータ滅失などのリスクも高まる。
DXレポートでは2025年までの間に複雑化・ブラックボックス化した既存システムを仕分けし、必要なものを刷新しつつ、DXを実現することによって企業競争力を高め、2030年の実質GDPで130兆円超の押上げになるとシミュレーションしている。
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