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DXとセキュリティをともに推進するポイント 第1回 企業に競争力とセキュリティのリスクをもたらすDXを再考する

マイナビニュース / 2024年11月18日 15時19分

例えば、JR東日本が提供するSuicaのような電子マネーとしても活用できる電子定期券のサービスをアプリで提供することで、年代や性別による行動を把握できる。これにより、通勤などで電車を利用する際に途中下車する駅や、そこで何を購入しているかを理解できる。こうしたデータは外食産業や不動産業などが必要とするデータであるので、年代と性別のみといった属性情報に限定したデータにすれば個人情報保護法に触れずに販売することが可能となる。

さまざまなデータを収集、分析することで新たなビジネスが見えてくることがDXの目指すところといえる。すでに非常に多くの企業がDXに取り組んでおり、政府では優れた取り組みやデジタル活用実績が現れている企業に対して「DX銘柄企業」や「注目企業」を選定している。DXレポートも最新の2.2では、デジタル産業への変革に向けた具体的な方向性やアクションを提示している。

デジタル化によるビジネス環境の変化

DXの推進は、新型コロナウイルスのパンデミックによって一層加速されたといえる。緊急事態宣言の発令によってリモートワークが義務づけられたことで、人の生活様式が大きく変わり、働き方も変化した。企業のシステムも大きく変化し、自宅などから企業システムにアクセスする方法が急速に整備されたほか、すでに活用が始まっていたMicrosoft 365やGoogle Workspaceの利用がさらに進んだ。

リモートワークは、2020年の東京五輪に向けて交通の混雑緩和などを目的に政府が推進していた。具体的には「テレワークデイズ」を設定し、その期間にリモートワークを実施してシステム上の問題を把握・解決することに取り組んでいた。大企業や中堅企業の多くがテレワークデイズに参加していたため、幸いにもこれらの企業は緊急事態宣言が発令されてもスムーズにリモートワークへ移行することができた。

しかし、変化を避けた企業ではVPNを活用したものの帯域が狭く、利用できる人員が限られたり、リモートワーク用のPCの調達が間に合わずに個人が持つPCで業務をせざるを得なかったりした企業も多かった。また、企業のネットワークを介さずに直接インターネット経由でクラウドサービスを利用せざるを得ず、利用状況がブラックボックス化する問題も発生した。データが企業戦略において重要性を増す中で、非常に危うい状況といえる。

そして危惧したとおりに、従来型のリモートワーク環境がサイバー攻撃にさらされることとなった。例えば、リモートワークを支える一般的なインフラとしてVPNの利用が拡張されたため、メンテナンスが十分に行われていなかった環境や、利用者が多い製品では脆弱性が悪用され、サイバー攻撃を受ける事態となった。リモートワークのインフラの脆弱性を悪用されて、不正アクセスを受けた企業も少なくなかった。

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