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吉川明日論の半導体放談 第319回 シリコンバレーのベテラン記者が見たIntelの40年

マイナビニュース / 2024年11月12日 7時14分

画像提供:マイナビニュース

先月、米有力紙ニューヨーク・タイムズに掲載されたシリコンバレーのベテラン記者ドン・クラーク氏の記事が目を引いた。「IntelはどうしてAIチップブームに乗り遅れたのか?」と題するこの記事は、シリコンバレーを中心としたテック産業を40年間取材したクラーク記者ならではの長い経験とそこから生まれる鋭い視点で、現在大きな問題を抱えるIntelという偉大な半導体企業の本質を解説している。
約2.5兆円の巨大赤字を計上したIntel

Intelの第3四半期の決算結果は過去最大166億ドル(約2.5兆円、1ドル=150円換算)の赤字を計上して大きな話題となった。

稼ぎ頭のパソコン/サーバー用のCPUのビジネスはAMDにシェアを奪われ相変わらず振るわず、現在データセンター分野の成長を牽引するGPU製品での遅れで、生成AIブームに完全に取り残されている状態だ。そのうえで、ファウンドリ会社の将来に向けたキャパシティーを増強すべく果敢な設備投資を継続している。今回の決算発表の大赤字は、2017年に買収したモービルアイののれん代の償却、今年中に完了するという1万5000人のリストラ費用など、諸々のネガティブ費用をすべてまとめて計上した結果である。CEO、Pat Gelsingerの決断は経理上の負の遺産を全て清算し、今後の成長計画の結果をはっきり示そうという決意の表れで、巨大赤字にもかかわらず株価は上昇した。
シリコンバレーを40年以上見てきたドン・クラーク記者の記事

今回のIntelの決算については幅広いメディアに多数の記事が掲載されたが、先月米国の有力紙ニューヨーク・タイムズに掲載されたドン・クラーク記者の記事は大変に興味深い。シリコンバレーに本拠地を構えたクラーク記者の40年はそのまま、私自身のAMDでの勤務経験を含む半導体関連企業での職歴とほぼ重なる。クラーク記者の名前は以前から目にしていたし、どこかのプレスイベントなどで質問をする姿を見た覚えがある。この記事で興味深いのは何といってもその職業柄、Intelをはじめとする業界の他の企業などの幹部への長年の取材などで得た生の情報を踏まえたうえでの分析だということだ。

IntelがAI半導体ブームに乗り遅れた理由としてクラーク記者が上げる理由は、x86マイクロプロセッサーでの成功体験で築かれたIntelの企業文化と、その成功体験から来る慢心であるという。

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