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吉川明日論の半導体放談 第319回 シリコンバレーのベテラン記者が見たIntelの40年

マイナビニュース / 2024年11月12日 7時14分

IntelはDRAMビジネスからの撤退後、社運をかけて取り組んだx86マイクロプロセッサービジネスの大成功により世界最大の半導体企業として長年業界に君臨したが、その企業文化が外部からの技術導入を排除してしまう負のパターンに陥っているというのがクラーク記者の見立てである。その例として、クラーク記者があげているのが2005年に当時のCEO、ポール・オッテリーニがIntelが取締役会に諮ったNVIDIAの買収計画である。

結局この計画は取締役会で却下され、実現されなかった。当時と現在のNVIDIAの株価を考えれば、「この時買収していたら……」という“タラレバ”話はいくらでもできるが、クラーク記者はその買収が実現していたとしてもIntelがAI半導体で業界をリードすることにならなかったかもしれない、と解説している。

というのも、NVIDIAによるAI半導体ブームが明らかになってきていた2016年に、IntelはAIチップのベンチャー企業Nervana Systemsを4億ドルで買収したが、結局その技術はIntel社内で技術部リソースのサポートを充分に得られず発展することはなかった。それどころか、そのプロジェクトの進行中にIntelによる他のAIチップのスタートアップ企業Habana Labs.の買収が突然決まり(買収額は20億ドル)、Nervanaの技術者たちは結局Intelを去ったという。現在Intelが力を入れているAIチップGaudi3は、このHabana Labs.の技術を基本としていると思われるが、Gaudiチップは発表されて以降、大手顧客の獲得に成功したという話はほとんど出てこない。

私自身、Intelの上層部がNVIDIA買収の計画を画策していたという話は初耳で、同じ時期にAMDがカナダのATi社を買収したことと合わせると非常に興味深い事実である。AMDがATiの技術と組織の取り込みに細心の注意を払って成功させたのとは大きな違いがある。これには企業文化の違いが関係していると思う。
Pat GelsingerとLarrabeeアーキテクチャー

クラーク記者の記事には他にも興味深い事実が書かれている。Intelはx86命令セットで積み上げた技術資産を基礎として、CPUとGPUのハイブリッド型の高速演算処理チップ「Larrabeeアーキテクチャー」を考案した。単純なイメージとしては、枝葉を落とした多数のx86マイクロプロセッサーコアを1チップに集積したアーキテクチャーで、汎用プロセッサーのタスクと高速並列計算を1つのチップ上で実現するというのが基本設計思想であった。

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