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20代から高めておきたい投資・資産運用の目利き力 第121回 映画もアートも社債も不動産も‐あらゆる資産がトークン化し流通するSTOの未来(後編)

マイナビニュース / 2024年11月22日 9時0分

2つ目は、「通貨とSTの同時交換の実現」です。ドルや円などの法定通貨と連動するステーブルコインによって決済され、DVP(Delivery Versus Payment)を実現します。これは、ブラックロックのBUIDLで既に実利用されている利点となります。

3つ目は、「配当・償還の自動化」です。期日などの条件を満たしたSTの配当を自動で行ったり、償還の処理をプログラムに組み込んだりと、スマートコントラクトによって処理を効率的に実行することが可能になります。

4つ目は、「コンプライアンスチェックの自動化」です。発行市場、流通市場において、該当STが準拠すべきコンプライアンスルール(発行量上限、適格性、ロックアップ期間など)を、スマートコントラクトによって自動でチェックすることができます。

5つ目は、「web3的顧客エンゲージメント」です。STを保有している投資家に対して、STを保有していることを自身で証明して特典を受け取ったり、保有者のみが参加できるコミュニティ等、投資体験の多様化を提供することができます。

また、上記の各種自動化、スキームの簡略化によって中間コストの削減ができることもメリットと言えます。発行体・投資家の双方にとってwin-winのモデルが実現できるでしょう。
○投資家をファン化させるSTO

筆者が勉強会や取材で感じたのは、「STによる投資の原点回帰」です。本来、株式投資はその企業を応援することであり、暗号資産投資はそのプロジェクトを応援することです。それがいつしか、値動きへの投資に変化していったと思います。

社債も、不動産や映画、アートへの投資も、その対象を応援することが本来であり、必ずしもお互いの顔は見えませんが、投資をすればより深いステークホルダーになります。ステークホルダーが集まれば、それはコミュニティです。トークンを活用したコミュニティで重要なのは、ファンと投資家のバランスでしょう。

「なにがあってもトークンを売らない」というファンの数を積み上げていくことがコミュニティの底力となり、さらに値上がりやリターンを期待する投資家的な人を集めることでボラティリティを作り出し、トークンを活性化させていきます。最初は投資目的で入ってきた人たちも、やがて「なにがあってもトークンを売らない」ファンに変わるのです。投資家しかいないコミュニティはサスティナビリティに欠けますが、ファンと投資家のバランスが取れたコミュニティは持続的に発展するでしょう。

STOは、web3のような新興金融だけでなく、伝統金融商品のオンチェーン化も推し進めています。世界最大の運用会社であるブラックロックがトークン専用ファンドを始めたことも大きな意味を持ち、STがあらゆるアセットを還流させていくことになるでしょう。

中島宏明 なかじまひろあき 1986年、埼玉県生まれ。2012年より、大手人材会社のアウトソーシングプロジェクトに参加。プロジェクトが軌道に乗ったことから2014年に独立し、その後は主にフリーランスとして活動中。2014年、一時インドネシア・バリ島へ移住し、その前後から仮想通貨投資、不動産投資、事業投資を始める。現在は、複数の企業で経営戦略チームの一員を務めるほか、バリ島ではアパート開発と運営を行っている。監修を担当した書籍『THE NEW MONEY 暗号通貨が世界を変える』が発売中。 この著者の記事一覧はこちら
(中島宏明)



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