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石破首相が決戦の日に漏らしていた苦悩の胸中――大島新×日テレ政治部が“会話”で映し出すトップの政治家たち

マイナビニュース / 2024年11月17日 6時0分

●自分の言葉でしゃべる人と用意された答えがある人
番組制作にあたって告示前に決めたのは、立候補者全員に30分間のインタビューを行うということ。しかし、総裁選の候補者は過去最多の9人まで乱立し、大島氏は「放送でほとんど使えない人が出くることになると思って、これはマズいと思いました(笑)」と振り返る。

それでも、政治部の記者たちがアポイントを取り、自民党は高市早苗氏と小泉進次郎氏を除く7人、立憲民主党は4人全員に30分のインタビューを実施。その結果、大島氏の懸念通り、登場時間が大幅にカットされる候補者が出てしまったが、どのような基準で編集したのか。

「インタビューをしてみると、自分の言葉でしゃべってらっしゃる方と、用意された答えがあるなと感じる方がいました。僕はいつも被写体と“会話”して、それを映像化することを心がけているので、自分の言いたいことや安全な決まったことしか言わない後者のような方は、他の方がインタビューをしても変わらない答えになると思い、結果的に放送で使っているのは前者の方が多くなりました」(大島氏)

○立民・泉健太氏が言った「猫をかぶってた」

前者の応答をした一人として例を挙げるのは、当時立憲民主党の現職代表だった泉健太氏。大島氏は「爽やかな好青年のようなイメージがあったのですが、自分が代表を務めた3年間を“猫をかぶってた”と言ったのに驚きましたし、後半はちょっと感情的になられて、旧民主党の分裂の歴史を“悲しみの連続”とまで言ったんです。内に秘めたマグマみたいなものがある人なんだと感じました」と、印象が変わった。

泉氏のインタビューを見て、「あそこまで熱いものを持っている人だということが映像化されるのは価値がある」と感じた井上氏は、大島氏の生み出す映像に「これがドキュメンタリーだなと思いました」と手応えをつかんだ。

「僕らは政治家をカメラで取材するONの場と、撮影しないOFFの場があるのですが、大島監督の取材ではカメラが回っていてもOFFの場で接する雰囲気に近いものが映像として収められていることに、不思議な感覚がありました。それと、合間に“うーん”と発するところは、テレビのニュースだと切ってしまうのですが、そこも含めて一つのパッケージにされることで、政治家とその空気感が混然と一体化している感じがして、これが監督の技なんだと思いました」(井上氏)

この評価に、大島氏は「これは政治部の皆さんとミッションが違うだけなんです。今回の取材でご一緒した記者さんはすごく頑張ってらっしゃって優秀だし、いつも以上にニュースをウォッチするようになったのですが、どの局もちゃんと日々政策を含めて報じられているけど、それをみんながやるから、どうしても横並びに見えてしまう。私の場合はそこで勝負しても仕方ないので、すごく平たく言うと1本のパッケージとしていかに面白いものを作っていくかを重視していますから」と、それぞれが役割を全うしていることを強調した。

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