富山の「段ボールの製造会社」の社員たちを変えたのは掃除だった – 指示待ち社員が変わった経緯を社長が明かす
マイナビニュース / 2024年11月25日 9時18分
ビジネスの基本である「顧客本位」を目指すためには、顧客が何を求めているのか、どうすればそれに応えられるのか、そのために自分たちは何をすべきなのか──を自分の頭で考えなければなりません。自分で考える力がなければ、顧客本位の業務など担えないからです。
そこでまず始めたのが「環境整備活動」、つまり清掃です。考える力と清掃がどう関係するのかと疑問に思う方も多いことでしょう。しかし私は、この活動こそが社員の考える力の育成に最もふさわしいと考えました。
優秀な人材が集まりやすい東京の企業とは違い、地方の中小企業には、最初から能力の高い人材が入社することは少なく、普通の人がほとんどです。そのため、普通の社員をスキルの高い社員に育てていくことが必要になります。
最初にそれぞれの社員の基礎力を高めていく。それには挨拶や顧客サービス、環境整備などの小さな行動を徹底するのが一番で、特に顧客本位で顧客が求める商品・サービスを生み出していける社員を育てるためには、環境整備が重要だと考えました。
環境整備活動では、まず全社員を7~8人の班に分け、グループごとに清掃場所を決め、毎朝15分清掃しました。
その15分で誰が何処をどのようにして清掃するか1年間の清掃計画を全員で立て、そこから1ケ月、1週間の具体的な行動計画に落とし込んで、1週間単位でPDCAを回しながら実行していきました。
しかし、この活動は社内をきれいにすること自体が目的ではありません。PDCAサイクルと考える癖を身につける活動であり、それが最大の目標です。
清掃であれば、ベテランも新人も同じ立場で自分の意見が言えます。各グループのマネジャーには「清掃に関して、どんどん社員の意見を取り上げてほしい」と指示。
これにより「自分の意見が取り入れられた」と感じ、やる気を出す社員が確実に増えます。つまり、自分で考える癖が自然と身につくようになるわけです。
もう一つ、掃除には良い点があります。新人とベテランが一緒になり、性別や年齢、役職に関係なく全員で毎日掃除をすることで、組織の一体感が生まれます。環境整備は考える力を養う人材教育の面と組織改善の面で、基本となる仕組みなのです。
社員の基礎力を高めるための、もう一つの活動が「ミッション活動」です。サクラパックスでは社員を約50のチームに分け、それぞれが半期単位で3つのミッション達成に取り組んでいます。
例えば経理グループが2021年に半期のミッションとして設定した「コロナの影響を踏まえた通期予測や分析を行い、当社の状況を分析する」、「原価計算ツール・部門別決算の運用サポートを行い、帳簿記録だけでなく経営サポート力のある経理部を作る」というようなものです。
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