イプシロンS第2段の燃焼試験が再び失敗、前回より低い圧力でなぜ爆発した?
マイナビニュース / 2024年11月27日 19時49分
なお補足しておくと、このイグナイタの燃焼試験は、今回初めて、振動・衝撃試験を実施した後に行ったという。振動や衝撃により、ケースの接着が弱くなり、そこから燃焼ガスがリークしたと考えられるが、従来は振動・衝撃試験をやっていなかったため、この問題は発生していなかったそうだ。
対策が完了し、次は再び地上燃焼試験を行い、機能や性能を確認する必要がある。しかし、前回の爆発で能代の設備は大破したため、同じ場所では試験ができない。そこで、今回はSRB-3の燃焼試験が行われていた種子島宇宙センターのテストスタンドを使用。E-21は短くて長さが合わないため、延長アダプタを新たに用意した。
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前回の爆発との類似点および相違点
再地上燃焼試験は、11月26日の8時30分に実施。最初は順調に燃焼しているように見えたが、点火から約49秒後に爆発した。燃焼時間は120秒の予定だったので、これは半分にも満たない時間だった。
同日16時30分からは、イプシロンSの井元隆行プロジェクトマネージャによる状況説明が行われた。ただ、この時点では井元プロマネもまだ現場に行けておらず、大量にある計測データをざっと見た程度ということだったが、1つ分かっているのは、今回も燃焼圧力が予想よりも上昇したということだ。
井元プロマネによれば、燃焼圧力の予測値は6MPaだったが、20秒くらいから上がり始め、7MPaになったところで爆発したという。これは前回の現象と非常によく似ている。ただ、前回は約57秒、約7.5MPaだったので、今回はそれよりも低い圧力だったのに、さらに早く爆発したということになる。
爆発した7MPaという圧力は、最大使用圧力である8MPaを下回っている。しかも、今回使用したモーターケースは、事前の耐圧試験を8.8MPaで実施しており、問題無く完了していた。なお、前回の耐圧試験が10MPaだったのは認定試験という位置付けだったためで、今回は領収試験だっため8.8MPaだった、という説明があった。
前回、まだ耐えられるはずの圧力で爆発したのは、温度の異常上昇という、複合的な要因があったためだ。今回も温度上昇がまず疑われるところだが、井元プロマネは「まだざっと見た程度」と断った上で、「多少上がっている部分はあるが、現時点でそれは許容範囲内だと判断している」という見方を示した。
前回との類似を考える上では、イグブースタの状態が注目点となるが、この時点では、まだ現場で見つかっていないという。しかし、イグナイタは現場近くに残っていたそうで、今後、回収した破片などを分析することで、分かってくることも多いだろう。
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